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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第141話 孫権
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ん。撤回してください」
「撤回はしない。孫文台は刺史殺しの野蛮な奴だ。そのような者に正宗様がお口添えしたことが広まれば正宗様の風評に傷がつく」
「それは。それは言いがかりです。私の母は武陵太守の命に従ったまでです。中傷されるべきは武陵太守ではありませんか?」
「孫文台が刺史を私的に恨んでいたことは事実であろう。この南陽郡で知らない者はいない」

 泉と孫権の口論に正宗は口を挟んできた。

「それは」

 孫権は正宗の言葉に口篭ってしまった。

「力は貸せん。話はこれで終わりだ」

 正宗は会話を無理やり終わらせ、椅子代わりにしていた丸太から腰を上げ薪割りに戻ろうとした。

「先輩、何故にございます。何故、そうまで孫家を嫌われるのですか?」

 孫権は正宗に対して苛立ちを抱いているようだった。

「無礼であろう!」

 泉は右こめかみ付近に血管を浮かべて孫権に怒鳴った。

「ふふ。孫仲謀、お前は自分に力を貸さない者を嫌っていると考えてるのか? 孫文台と同じ気質であるな。気に入らない者は誰彼構わず斬り捨てる。この私にも刃を向けるか? 望みとあらば受けてやろう。この劉ヨウ逃げも隠れもせん」

 正宗は小さい声音で笑うと孫権を見て言った。

「先輩、私は貴方様と争う気など毛頭ございません。私はただ何故そうまで私を避けられるのかとお尋ねしているのです。お女将さんと関雲長殿の対応と私と甘興覇への接し方にあまりに違いがあるように思います。個人的に孫家に恨みを持っているとしかいえないような悪意を感じます」

 孫権は少し感情的になってしまったのか心の内を吐露してしまったようだ。彼女は「まずいことを口にしてしまった」という表情をしていた。
 泉は孫権の言葉に完全に立腹した様子だった。彼女は孫権を睨みつけていた。

「黙って聞いていれば図に乗りおって! 正宗様に対して何たる無礼か! 貴様等のことを正宗様がどう思うとお前らには関係ないことではないか!」

 泉は思いの丈を怒鳴りながら孫権にぶつけた。

「泉。落ち着け」
「先輩、申し訳ございませんでした! 私と甘興覇がご無礼な態度をしてご不興を買ったのならお詫びいたします。最早人材を紹介して欲しいなどと一片も思っておりません。先輩のご都合も理解せず無理を言い申し訳ございませんでした」

 孫権は正宗に頭を深く下げ詫びを言ってきた。正宗は孫権の謝罪する姿を見つめていた。

「もうよい。孫仲謀、頭を上げよ」

 正宗は黙考し暫くして徐ろに口を開いた。

「孫仲謀、お前は私のために母と姉を殺せるか?」

 正宗は怜悧な瞳で孫権のことを見つめた。彼の雰囲気から孫権は彼の言葉が本気で言っていることが理解できた。だが、彼の言葉があまりに突然過ぎて気が
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