第141話 孫権
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はないということか?」
「噂には尾ひれがつくものです。ですが、先輩の置かれている状況を鑑みればただの噂と切り捨てることは難しいと思います」
孫権は正宗に自信を持って返答した。正宗は孫権を暫く凝視した後、口を開いた。
「孫文台が立身してからの娘と聞いていたので、ただの姫かと思っていたがそういう訳ではないようだな」
孫権は正宗が自分を褒めていることに素直に嬉しそうにしていた。正宗が孫家陣営を青田買いし過ぎてしわ寄せが孫権に向かったことで彼女の能力向上に一役買ったのかもしれない。正宗もそう思っているのか微妙な表情で孫権を見つめていた。
「孫仲謀、後学とは嘘であろう」
正宗は唐突に孫権に言った。正宗の表情は「答えずとも分かっている」という表情だった。
「この南陽郡に孫家の者であるお前がよくこれたな。独立独歩を地で行く孫文台の娘らしいといえばらしいが」
正宗の言葉に孫権は困った表情を浮かべた。孫権にとって冀州から来た正宗が南陽郡と母孫堅との因縁を把握していることは予想外だったのだろう。だが、孫家の内情に詳しい正宗であるから知っていてもおかしくないと思っていたかもしれない。
「お前が私に何を期待しているのか当ててやろう」
孫権が押し黙っているのを他所に正宗は話を続けた。
「人材集めが芳しくないので私に人材を紹介してもらえるように仲良くなりたいというところか?」
正宗は淡々と言った。孫権は少し俯き正宗の視線から目線を逸らした。正宗は孫権の態度を見て肯定したと捉えたのか憮然とした表情を浮かべ孫権を凝視した。
「正宗様を利用しようとは何たる恥知らず。今直ぐ失せろ!」
泉は正宗と孫権のやり取りを見て険しい表情で孫権を睨んだ。孫権は泉の剣幕に一瞬気圧された様子だったが、強い意思を感じさせる瞳で正宗を見つめた。
「先輩、お慧眼に驚嘆いたしました。お察しの通りでございます。ですが、後学のためにお話をお聞きしたいと思ったことに嘘偽りはございません」
「お前の存念などどうでもよい。お前が私に人材を紹介して欲しいと考えていることに相違ないではないか。だが、私にお前に力を貸す理由はない。違うか?」
正宗は孫権に真面目な表情で答えた。孫権は正宗の言葉に押し黙るも引き下がらなかった。彼女も必死なのだろう。
「先輩は武勇にて立身されたお方です。我が孫家は母孫文台が一代にて築きし武門の端くれにございます。必ずや先輩のお力になれると存じます」
孫権は熱意の篭った表情で正宗に訴えかけた。
「孫家が如何程のものか。正宗様には武勇に秀でた将は十分にいる。わざわざ野蛮な者達の力を借りる必要はない」
泉は憮然とした表情で孫権に言った。
「野蛮とは聞き捨てなりませ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ