第141話 孫権
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う感情からくるものだろう。
「申し訳ありません」
孫権は背中を小さくして正宗に謝罪した。その態度に正宗は微妙な表情を浮かべるも、それを隠すように茶を飲んだ。
「正宗様は休憩しておられる。官職も持たぬ貴様が馴れ馴れしく正宗様に直答しようなど無礼を通り越して不敬であろう」
泉は厳しい表情で孫権に言った。
「官職はございませんが、『華北の英雄』と謳われる清河王に後学のため話を聞かせていただきたいと思いました」
孫権は丁寧に挨拶をして正宗に頭を下げた。泉は孫権の態度に面白くなさそうな表情を浮かべた。対して正宗は孫権を正視して彼女の様子を伺っていた。
「後学か……」
正宗は嘆息して視線を泉に向けた。泉は正宗の視線を受けると、それに従い正宗の横に立った。孫権は正宗の態度に嬉しそうな表情になった。
「孫仲謀、私を『清河王』と呼ぶことは止めろ。他人に聞かれては面倒だ」
「では何とお呼びすればいいのでしょうか?」
孫権は正宗に尋ねた。正宗は顎に指をあてて考え込む。
「先輩と呼べ」
「先輩ですか?」
「そうだ。私はお前より先にここで働いているのだ。『先輩』でいいだろう」
「わかりました。先輩」
孫権は正宗の指示通りにした。
「孫仲謀、甘興覇にも伝えておけ」
「分かりました。先輩」
孫権は快活な笑みを浮かべた。正宗は孫権の態度に微妙な表情を浮かべた。孫権は正宗が会話に応じてくれたことが余程に嬉しいようだ。
「孫仲謀、私を『華北の英雄』と何故呼んだのだ?」
「清、いえ先輩は華北で『黄巾の乱』を平定した功績により朝廷の重臣になられたと噂を聞いたことがありました」
「噂であろう。私が『華北の英雄』である証拠にはなるまい」
正宗は孫権に気づかれないように彼女を観察するように見た。
「先輩が私と甘興覇に向けた殺気は未だかつて体験したことではありません。私は戦場を知りませんが、それでも先輩が強いことは分かります。母上や姉上すら、あのような殺気を放つところは見たことがございません」
「殺気のみの強さで英雄というのは浅慮ではないか?」
正宗は孫権に質問した。
「『殺気のみ』と仰いますが戦場を知る私の従者・甘興覇は身動きをとれずにいました。戦場で戦働きを長く経験している者が身動き取れない殺気を放つ者が武に劣ることがあるでしょうか?」
「そうだな。続けよ」
正宗は孫権の答えに満足そうな笑みを浮かべていた。
「無能な者を異民族の紛争地域であり大州である冀州の州牧につける道理がございません。政治力もしくは武勇に秀でた者でなくば冀州の統治は覚束ないはず。また、州牧に推挙されるだけの実績と実力が必要になると思います」
「総合的に見て噂は的外れで
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