第4部 誓約の水精霊
最終章 悲しみの対決
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「ウルキオラさん?」
アンリエッタはウルキオラの行動を確かめるため、ウェールズに寄った。
ルイズたちも傍へと駆け寄る。
ウルキオラの手が薄い緑色に染まっていた。
「何してるの?」
ルイズが尋ねた。
しかし、ウルキオラは答えない。
答える必要がないとも言えた。
ウェールズのその瞼が、弱弱しく開いたのだ。
「……ウ、ウルキオラ…君?」
弱弱しく、消え去りそうな声だったが、紛れもなくウェールズの声だった。
アンリエッタの肩が震えた。
「あ、あんた…なにしたのよ!?」
ルイズが驚いたように騒いだ。
「回道」
「かいどう?」
キュルケが首を捻った。
「お前たちの世界で言えば、水の治癒魔法だ」
ウルキオラは手を引いた。
アンリエッタは、そっとウェールズを抱きかかえた。
「ウェールズ様……」
アンリエッタは恋人の名を呼んだ。
彼女にはわかる。
今度のウェールズは本物のウェールズだ。
偽りの生命で動く操り人形ではない。
本物の彼だ。
「なんということでしょう。おお、どれだけこのときを待ち望んだことか…」
ウルキオラの回道から離れたウェールズの胸から、赤い液体が垂れてきた。
アンリエッタは慌ててウルキオラに懇願した。
「ウルキオラさん!お願いします!ウェールズ様を…ウェールズ様を…」
しかし、口を開いたのはウルキオラではなく、ウェールズだった。
「無駄だよ……、アンリエッタ。さすがのウルキオラ君でも、僕を…死者を救うことはできない。こうして、少しの間、鼓動を動かすのが限界さ」
「そんな……」
アンリエッタの目から涙が溢れた。
しかし、ウルキオラの口から出た言葉は意外なものだった。
「方法はある」
ウルキオラの言葉に、皆が驚愕する。
「ほ、本当ですか?」
「な、なに?」
アンリエッタとルイズはウルキオラに詰め寄った。
ウルキオラはそんな二人を見向きもせずに、弱弱しい視線を送ってくるウェールズを見つめながら、腰に差した斬魄刀を抜いた。
「俺の力をお前に譲渡し、虚化すれば、まだ助かる」
ウルキオラの言葉に、キュルケが口を開いた。
「それって、人間を捨てて、あなたと同じ種族になるってこと?」
キュルケはモンモランシーからウルキオラの種族について聞いていたので、虚という言葉を理解していた。
それは、タバサも同様だった。
「治せるのなら、治して下さいな!お願いいたしますわ!」
アンリエッタは藁にもすがる様子だ。
しかし、ウェールズはそれを拒否した。
「治さなくて……いい」
ウェールズの言葉に
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