第十四章 水都市の聖女
第八話 聖竜と乙女
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とよばれるだけある力を持つルイズや、類まれな魔法の才を持つタバサやキュルケ。最近ある程度は見られる実力をつけてきたギーシュ等水精霊騎士隊。他に護衛などなくとも、これだけでもかなりの戦力である。
しかし、唯のメイジの部隊ならば心配はないが、相手はあのミョズニトニルン。セイバーはその経験から決して油断できない相手であると確信していた。
だからこそ、教皇からの命令を無視してまでルイズたちに付いていこうとしたのだが、とはいえついていけば教皇の命令を無視することになり、これからの活動に支障を来してしまう。そのため、ルイズやタバサたちの説得を受け散々迷った末、セイバーは命令に従う事にした。
幸いと言えばいいのか、国境での戦闘区域と虎街道での戦闘区域は近かった。ガリアの艦隊との戦闘が早く終われば、ルイズたちの救援に行ける可能性はある。例えそれが万が一にもない可能性であっても。
「ガリアの艦隊は百を超えるというのに、援軍は竜騎士が一人……今度は何を企んでいる」
最初セイバーは自分以外にもロマリア艦隊への援軍に向かう者たちがいると思っていたのだが、しかし、色々と話しを聞いて回ってみるが自分以外の者が援軍に向かうといった話は一つも耳にすることはなかった。たった一人の竜騎士が百を超える艦隊による戦闘に加わったからといって、戦局に影響を与えることは不可能だ。そんな事は十の子供でも分かることだ。それを敢えて命令した。
それには何か理由があるはずだ。
例えば―――
「ルイズ一人で十分に撃退出来ると確信している?」
自分で口にしながら、直ぐにそれを否定するように首を左右に振る。
「……“虚無の使い手”は重要なはず。例えそうでもわざわざ護衛を外して余計な危険を招く必要はない」
教皇たちは本来こうして重要な虚無の使い手を失うかもしれない戦場に出すこと自体忌避したかった筈である。しかし、事態がそれを許してくれず、またルイズ以外に現状を打破する手段がないため、ルイズが戦場に赴くことになってしまっている。
強力な個を倒すには、数で押すかそれを超える強さを持つ個でもって相手をしなければならない。しかし、ロマリアの現状は数で押すには戦力が足りず、相手を超える強さを持つ個は教皇たるヴィットーリオかルイズしか可能性はない。となれば、教皇という立場にあるヴィットーリオが選ばれる筈がなく、戦場に向かうのがルイズになるのは自明の理である。
それについてセイバーは、不満はあるが納得は出来ていた。
しかし、そこで何故士郎がいない現状で、最大戦力の一つであるセイバーをルイズの傍から離す理由が分からない。
「何か他に理由が」
熟練の竜騎士であっても不可能な速度を維持し、極寒の地に住む者であっても耐えられない冷風に晒され
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