第十四章 水都市の聖女
第八話 聖竜と乙女
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の狂った命令をそのまま実行しそうな人物がシェフィールドという女であり、それを実行出来そうなものがヨルムンガンドであった。
「……欲に目が眩んだか」
自虐的に呟き脳裏に浮かぶのは、野心や欲望に飲まれ消えていった同僚の姿。
その中に自分の姿も見える。
気付かないうちに自分だけは大丈夫等と言った根拠のない自信があったのだろう。
今になって自分はとんでもない相手に力を貸しているのではないかと恐ろしくなった。
“王”という宝に目が眩み、手を伸ばした先にあるのは破滅と言う名の闇ではないかと。
しかし、もう止める事は出来ない。
ロマリアが滅びるか、こちらが滅びるかしない限りこの戦いは終わらないだろう。
だが、あの悪魔のような怪物を倒せるようなものは想像できない。
それでも倒せるモノがいるとすれば―――
「ふん、それこそ―――」
―――ッッ!!!
クラヴィル卿が何かを口にしようとしたその時―――一爆発音が響いた。
「―――なっ、何が起きたッ!!?」
爆発により生じた衝撃が、巨大なシャルル・オルレアン号の船体を揺らした。甲板に立っていた者は残らず倒れる中、頭を振りながら顔を上げたクラヴィル卿が声を張り上げる。
「―――ッ、ば、バーミリア号轟沈しましたッ!!」
「なっ、馬鹿なッ!?」
物見台から聞こえてきた声に、クラヴィル卿が信じられないと驚愕の声を上げた。見張りの兵が口にした艦名は、紛れもない両用艦隊の船であった。それも、旗艦“シャルル・オルレアン号”の次に巨大な船である。受けた衝撃から近くの味方の船が落ちたのではと想像していたが、バーミリア号の名は想像していなかった。
慌てて立ち上がり周囲を見渡すと、確かにバーミリア号が船体を砕きながら下へと落ちていく姿が目に入った。
バーミリア号はシャルル・オルレアン号には劣るが、それでも通常の船の倍近い大きさがあった。例え直撃を受けたとしてもそう易々と落ちるようなものではない。それに配置もロマリアの砲撃が届かない後方にいたはずであった。
一体何故、どうしてとクラヴィル卿が混乱に陥っていると、
―――ドォォォンッ!!!
再度爆発音が響いた。
「―――ッ、何処だッ!!」
今度の爆発は離れた場所で起きた。船体の揺れは小さく倒れる程のものではなかった。たたらを踏みながらも周囲を見回すと、ゆっくりと船体の破片をバラ撒きながら落ちていく船の姿が目に入った。
「な、そんな……馬鹿な……」
火薬庫に火が回ったのだろう。既に元の形が分からない船が、爆発しながら落ちていく様を見ながらクラヴィル卿は震える声で呟く。
「ゴドヴィル号が落ちた、だと」
頑丈さで言え
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