第二百五話
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第二百五話 前日の博士
クラウンのメンバーが路上ライブを前日に控えて緊張のピークにあった時天本博士もまた緊張していた。その緊張は何故かというと。
「今度はですか」
「うむ、少し趣向を変えてのう」
小田切君に自分が開発したものを披露していたからだ、そしてその披露しているものは何であったかというと。
「これじゃよ」
「巨大ロボットじゃなくて、ですか」
「巨大戦艦じゃ」
今回造り上げたのはそれであったのだ。
「これは凄いぞ」
「空飛んでますね」
戦艦といっても湊にはない、空に浮かんでいた。当然艦底もなく宇宙戦艦のそれによく似たシルエットである。
「しかも先にドリルまであって」
「あのドリルで体当たりの時はな」
「敵を粉砕するんですか」
「うむ」
その通りだというのだ。
「ただラムを備えただけでは面白くないからのう」
「だからドリルですか」
「そして主砲は二十インチ超電磁砲をじゃ」
所謂レールガンである。
「三連装で前に三セット、後ろに二セットじゃ」
「合わせて一五ですか」
「そして八連対空ミサイルランチャーを十基、対艦もやはり八連で十基じゃ」
「滅茶苦茶凄いですね」
見ればキングジョージ五世級と大和級を合わせた様な姿だ、それが空に浮かんでいるのだ。全長は六〇〇メートル程だ。
「あと対空機銃もありますね」
「そっちもレールガンじゃ」
「二連ですね、どれも」
「左右にそれぞれ二十ずつある」
それはこれだけだった。
「あと対空、対潜双方に使える魚雷もある」
「まさに完全武装ですね」
「一隻で自衛隊の相手はおろか世界の軍隊を相手に出来る」
博士は笑ってこうも言った。
「防御はバリアを三重、装甲はまさにセバストポリ要塞じゃ」
「色々備えてるんですね」
「自信作じゃ」
実際に自信を持って言う博士だった。
「誰も勝てんわ」
「そうなんですね」
「出来たわ、遂に」
緊張しながらも笑顔の博士だった。
「こうして披露してな」
「そこからですね」
「使うとしよう」
「それで何に使うんですか?」
「破壊じゃよ」
返答は一つだった、かくして早速試験航行に出る博士だった。
第二百五話 完
2015・1・24
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