第百九十七話 龍の勘その十一
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「真田殿じゃが」
「うむ、佐吉達とな」
「会うとのことじゃが」
「佐吉はのう」
大谷はともかくとして、というのだ。
「今でこそ我等もどうした者かわかっておるが」
「何分空気を読まぬ」
「うむ、何時でも相手が誰でもずけずけと言う」
「直言を憚らぬ」
「殿にさえ言う」
信長にもというのだ、主である彼にも。
「一本気で腹は綺麗じゃがな」
「そこがどうもな」
「そうじゃ、難しい者じゃ」
「その佐吉と会うのか」
「本当に大丈夫か」
「気分を害さぬか」
「そこが心配じゃ」
二人は幸村が石田に何か言われそう思うことを危惧していた。
それでだ、七将の面々を集めてだ、幸村に言うのだった。
加藤嘉明がだ、幸村に最初にこう言った。
「佐吉と会うことはな」
「止められた方がいいと仰るのでしょうか」
「いや、若し会うのならな」
それならというのだ。
「我等も同席したいが」
「桂松も一緒とのことじゃがな」
細川忠興も言う。
「あの者がいるのなら心配はないと思うが」
「しかし佐吉は普通に厳しいことを言う」
黒田長政は石田のその厄介なところを幸村にありのまま話した。
「それが問題じゃ」
「貴殿が若し気分が害したならじゃ」
池田輝政もこのことを案じているのだ、言葉にもそれが出ている。
「よくない」
「だからじゃ」
蜂須賀家政が言うことはというと。
「我等も同席してよいか」
「賑やかになると思うが」
「それでもよいか」
加藤と福島も言う、だがだった。
幸村は笑ってだ、七将にこう返した。
「いやいや、それがしはです」
「そのことはというのか」
「大丈夫だとか」
「はい、お心だけ受けさせて頂きます」
これが幸村の返事だった。
「お歴々の、それに」
「それに？」
「それにとは」
「それがしには常に頼りになる家臣であり友である者達がおります」
こう言ってだ、今も自分の後ろに控える十勇士達を手で指し示して言うのだった。
「この者達が」
「真田十勇士か」
「音に聞く」
「それがしに何の憂いもありませぬ」
それでというのだ。
「ですからご心配には及びませぬ」
「ここはお任せ下さい」
「我等がおります」
「殿の後ろにも周りにもです」
「常に我等がおります」
「ですから」
十勇士達もこう言うのだった。
「ここはです」
「お歴々は憂われることなきよう」
「それで、です」
「ここはご安心を」
「ふむ、ではな」
加藤清正は彼等の言葉を受けて確かな声で返した。
「ここは幸村殿のことはな」
「はい、それでは」
「我等に」
「ではな」
こう言ってだった、そのうえで。
七将は幸村のことは彼の忠実なる家臣であり心でつながっている友である十勇士
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