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戦国異伝
第百九十七話 龍の勘その十

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「その話もな」
「では殿はですか」
「大谷殿の縁者となられ」
「そして、ですか」
「石田殿とも」
「お話をしてよき方ならな」
 それならというのだ。
「是非な」
「親しくされたい」
「左様ですか」
「そう思う、わしは武士としての道を歩んでおる」
 それもひたすらにだ。
「ならばな」
「よき方とも会われ」
「そのうえで」
「学びたいのじゃ」
 これが幸村の考えだった。
「人もな」
「では、ですか」
「今日にでもですか」
「石田殿と会われますか」
「そうされますか」
「そう考えておる」
 これがまさにだ、幸村の考えだった。
「ではな」
「はい、では」
「これよりですか」
「石田殿と会われ」
「そして」
「見たい」
 石田本人をというのだ。
「そのお人をな」
「石田殿の噂はかなり広まっていますが」
「会われるのですな」
「噂は噂じゃ」
 それに過ぎないとも言う幸村だった。
「真実は違うこともな」
「それもですな」
「有り得るからですか」
「百聞は一見に然ずじゃ」
 これも幸村の考えだ、彼は己の目で観てそのうえで人を確かめるのだ。噂は所詮噂だという考えの持ち主だ。
 だからだ、石田についてもこう言うのだ。
「ではよいな」
「石田殿と会われ」
「そのお人柄を確かめられますか」
「そのつもりじゃ、わしは天下一の武士を目指しておる」
 武士道、それを歩んでいるというのだ。
「それでじゃ」
「では我等もまた」
「殿と石田殿が会われる場に同席させて頂きます」
「石田殿がどういった御仁か見たくなりまいsた」
「それ故に」
「そうか、頼むぞ」
 それならと返す幸村だった、そしてだった。
 幸村はそのうえでだった、石田と会うことも決めた。そのうえで。
 織田の軍勢の中にありそしてだった、信濃を進んでいた。そうして石田及び大谷と会い話すことを本人達に申し出た。
 二人は幸村自身から話を受けてだ、こう返した。
「ではこれよりか」
「我等と」
「はい、お話したいと思っています」
 こう二人に言うのだった、自分自身で。
「宜しいでしょうか」
「うむ、別にな」
「断る理由はない」
 是非にと返す二人だった。
「では後で休む時に」
「茶でも飲みつつ」
「そのうえでな」
「話そうぞ」
「ありがたきお言葉、それでは」
 その言葉を受けてだ、そのうえでだった。
 幸村は二人と話すことを決めた、その幸村を見てだった。
 加藤清正は首を傾げさせてだ、福島に言った。
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