第154話
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「申し遅れた。
私の名前はブリジット=アンソニーという名前だ。
よろしくお願いするよ、ヒーロー」
その時だった。
まだ言葉を続けようとするブリジットの顔面に麻生の拳が突き刺さる。
一〇メートルという距離を一瞬で詰め、その左拳がブリジットの顔を正確にとらえる。
能力の加護もあるのか、後ろのビルの壁まで一気に吹き飛ぶ。
手加減など一切なしだ。
後ろのビルの壁を貫通するという人間では出す事のできない威力を発揮する。
普通の人間からすれば明らかに即死級の一撃を加えて、そこで麻生は口を開く。
「何普通にべらべら喋ってやがる。」
その声には殺意しか籠っていない。
「彼女達を泣かせるくらいまで追い詰めやがって。
お前、死ぬ覚悟はできているんだろうな?」
愛穂との約束など、どうでも良かった。
彼女達を関係のない危険な世界に巻き込ませたのだ。
それだけあれば充分だった。
麻生がブリジットを殺す理由はそれだけで充分だった。
だが、声は後ろから聞こえた。
「死ぬ覚悟ね。
それはこっちの台詞だけどな。」
素早く後ろを振り返る。
麻生と愛穂達の間にブリジットは立っていた。
先程の拳を受け、ビルの壁を貫通したにも拘らず服がボロボロになっているだけで無傷だった。
赤いローブは既になく、ローブの下には服を着ていたみたいだがさっきの衝撃で何を着ていたのか分からなくなる。
下にはジーンズを穿いていたが、右足の股関節辺りからばっさりと服がなくなっている。
左脚の方もダメージが所々は言っている。
さらに違いがあるとすれば手にはあの西洋剣が無くなっているという事だけだ。
殴られた頬を擦りながらブリジットは言う。
「急に殴りに来るとは予想外だったよ。
君は彼女達が関わるとすぐに怒るね。」
麻生はその言葉を無視して殴った拳を開け閉めして調子を確かめる。
(確かに殴った感触はあった。
だが、骨などが折れた手応えはなかった。
つまり、こいつにはあれほどの攻撃を受けても無傷で済むほどの耐久力がある。)
そう判断して麻生は改めて拳を握り締め構える。
それを見たブリジットは嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「やっと、私を敵と認識してくれたね。
嬉しいよ。
それじゃあ、始めようか。」
魔道書を持っているのと逆の手を上にあげる。
「星の存続をかけた殺し合いを。」
「麻生、上!!」
「なっ!?」
制理の声を聞いて上を見上げる。
そこには、剣や槍や斧など人を殺す武器が麻生の真上で展開されていた。
一つ二つの話ではない。
およそ一〇〇〇を超えるほどの武器が麻生の真上で展開されていた。
ブリジットはパチン、と指を鳴らす。
それが合図なのか、一〇〇
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