第八幕その六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「これからもね」
「それじゃあずっと独身?」
かなり率直にです、ダブダブは先生に問いました。
「先生は」
「いやいや、何時かはね」
「結婚したいっていうのね」
「そうだよ、その気持ちは変わらないよ」
「じゃあ自分から声をかけないと」
ダブダブは先生を右の翼で指し示しつつ言います。
「私達は確かにずっと先生と一緒にいるけれど」
「奥さんを見付けてこそじゃよ」
老馬も言います。
「本当に日笠さんならと思うのじゃが」
「それで皆で言うんだ」
「左様じゃよ、本当に積極的に行ってもらいたい」
老馬も切実に思うことでした。
「学問だけでなく」
「皆の言う通りですよ」
トミーも先生に言うのでした。
「先生も結婚しないと」
「トミーもそう言うんだ」
「イギリスのお家はもう売りましたし」
「完全に日本に住んでいるね」
「はい、日本での生活も落ち着いてきましたし」
「それではだね」
「そろそろですよ、安定したお仕事も収入も出来ましたから」
もう条件が揃っているというのです、結婚に対して。
「もうここは」
「結婚だね」
「真剣に考えて下さいね」
「それじゃあだよ」
先生は鰯で御飯を食べつつトミーに問いました。
「若し僕が結婚するとね」
「はい」
「そうしたらどうするのかな」
「どうするかといいますと」
「だから。トミーは今この家に住んでいるよね」
問うのはこのことでした。
「僕が結婚したらこの家に奥さんを迎え入れることになるけれど」
「じゃあ僕は寮に入ります」
「大学の?」
「はい、そうします」
あっさりとです、トミーは先生に答えるのでした。
「それだけですよ」
「あっさりしているね」
「先生の新婚生活を邪魔するつもりはありませんし」
「その時はなんだ」
「大学の寮に入るか、若しくは」
「アパートで一人暮らしだね」
「そうします、家賃はアルバイトで稼ぎます」
そうして暮らすというのです、先生が結婚してこのお家を出てその時寮に入ることが出来なかった時はです。
「大学の方でアルバイトも紹介してくれますし」
「うちの大学はそちらにも力を入れてるしね」
「はい、ですから」
「寮かアパートで暮らすんだ」
「そうするだけです」
「そうなんだね」
「というかね、先生」
チーチーがトミーの言葉を聞いた先生に言って来ました。
「トミーは先生より生活力があるから」
「だから大丈夫だっていうんだね、一人暮らしをしても」
「むしろ先生が世事に疎過ぎるんだよ」
先生の欠点の一つです、とにかく世事のことには弱い人です。
「そうしたことについて」
「それでなんだ」
「そう、トミーのことは大丈夫だよ」
例え一人暮らしをすることになってもというのです。
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ