暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と学園の動物達
第八幕その三

[8]前話 [2]次話
「事態が進みましたし」
「いいことですね」
「はい、それでなのですが」
「それでとは」
「今夜ですが」
 何処か勇気を振り絞る様にして言う日笠さんでした。
「お暇でしょうか」
「?何かあるのですか?」
「いいバーを知っているのですが」
 こう先生に言って来ました。
「よかったら」
「あっ、今夜は」
「今夜はといいますと」
「論文を書かないといけないので」
 先生は申し訳なさそうに言うのでした。
「ですから」
「それで、なのですか」
「今夜は無理です」
「そうですか」
 そう言われてです、日笠さんはがっかりとしたお顔になりました。
 そうしてです、そのお顔でこう言いました。
「それは残念です」
「申し訳ありません」
「ではまた今度」
「今度ですか」
「そうです、またです」
 こう言うのでした、諦めないというお顔で。
「またお時間があれば」
「その時にですね」
「お願いします」
「はい、それでは」
「それで論文は」 
 日笠さんは先生にさらに言うのでした、やっぱり諦めていないお顔で。
「何処で書かれるのでしょうか。研究室でしょうか」
「いえ、自宅で」
「お家で、ですか」
「はい、パソコンを使って」
「若しもです」
 日笠さんはさらに言います。
「お気持ちが変わって」
「僕の気持ちがですか」
「論文を研究室で書かれるのなら」
 その時はというのです。
「私もお手伝いさせて頂きますが」
「研究室に来られてですか」
「はい、その時はです」
「医学の論文ですが宜しいのですか?」
「私に出来ることでしたら」
 その時は是非にというのです。
「何なりと」
「いえ、お家で書きますので」
 先生は一向に気付きません。
「ですから」
「そうですか、ではまた今度」
「はい、時間がある時にお願いします」
 先生はがっかりしている日笠さんを観て応えます、周りでそれを見ていた動物達はその先生と日笠さんを見てやれやれといったお顔になりました。
 そして、です。お家に帰ってから晩御飯を食べている時に先生に言うのでした。
「もう駄目」
「全然駄目だよ」
 まずはジップとチーチーが言います。
「先生何やってるんだよ」
「本当にこうしたことは駄目なんだから」
「あのね、そこでね」
「是非にって言わないと」
「これ以上はないチャンスだったのに」
「何やってるんだよ」
「?だって今夜は論文書かないといけないから」 
 今も気付かないままの先生でした。
「だからね」
「そうじゃないの」
「わかってないわね」
 ダブダブとポリネシアも言うのでした。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ