第五話 『脱出』
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
葉をかみつつ受け答えると腕をくんで下を向きながら、
「いや、いつものほほんとしてるめんどくさがりやの君からは想像できない豹変ぶりだからさ」
などとちょっと失礼なことをいってきた。
「お前な……俺をなんだと思って……」
そういいかけたときだった。
バリーン!!
耳をつんざくような音に全員が振り向くと、そこにはいるはずのない男が一人、首もとと口から血を垂れ流しながら立っていた。
「う、うわぁぁ!!ゾンビだ!アンデッドだ!もうだめだ!」
千歳と言ったその男は、突然の感染者の侵入に泣き叫びだしてしまった。それとほぼ同時に、そのゾンビもどきはこちらに襲いかかってきた。
「クソッ……」
反射的に走り出した俺は、教室に備え付けで置いてあった机を、ゾンビもどきへ向けて蹴り飛ばし、そいつの足へ命中させ足を崩す。そこにすかさず飛び掛かり、立ち上がろうとする男の喉仏の三センチしたに短い助走で放った蹴りを叩き込む
「らあっ!!」
『うぐごあっ!』
奇怪な悲鳴をあげた男は魂が抜けたかのように、地面へ倒れこんだ。上向きで倒れているのに頭が体の下にあるのは、触れないでおこう。
「流石だな零斗」
などと陵太はのんきに話しかけてくるが、4階の音楽室にどうやって奴は登ってきたのだろうか。そう思い、割れたガラスに触れないように下を覗くと、
「な、なんだよ……これ……」
そこには想像もできないような光景が広がっていた。数え切れないほどの感染者たちが山のように積み重なり、その山は次第に高くなっている。
「不味いぞお前ら!このままだと奴等の昼飯にされちまう!」
「んなこといってる場合かバカ!さっさと逃げねーとヤバイだろ!」
などと陵太から真面目な回答が帰ってきた。だが、このままだと本当に奴等の餌になりかねん。クソッ……出来れば取っておきたかったが、仕方がない。
「皆!俺がぶち開けた穴から化学室に入れ!」
全員をなんとか束ねて化学室移動すると、部屋に残しておいたニトログリセリンの爆弾を、反対側の壁に設置し、可燃させる。
「離れろお前ら!」
そういって部屋の反対に移動した次の瞬間
ドゴオゥゥゥゥ!!!!
「よし。ここから隣の物理工学室にでて外をめざすぞ。俺がポイントマンになる。ルートは状況に応じて変更するから、はぐれんなよ」
自分でも驚くほど緊張感のある声でそう言った。さっきまで泣きわめいていた千歳とか言った 男も、今はその雰囲気に飲まれている。
「わかったな。それじゃいくぞ」
全員がうなずいたのを確認すると、壁に空いたメートルほどの穴の中へと歩み出た。
学校のなかは相変わらず、恐ろしいほどの静けさでつつまれている。物理工学
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ