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『八神はやて』は舞い降りた
第4章 戦争と平和
第35話 カットバックドロップターン
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強の魔法少女が来る。その言葉を誰も疑わなかったのだ。


 それは魔法少女というにはあまりにも大きすぎた。
 大きく分厚く重くそして大雑把すぎた。
 それは正に漢女だった――。
 それが観衆の見た最後の光景だった。


「ミルたん。覇王色の覇気使っちゃダメでしょ。みんな泡吹いて気絶しちゃっているじゃない」

「にょ? これはうっかりしたにょ」





 二メートルを超える長身。
 そこらのボディビルダーが裸足で逃げ出すような鍛え上げられた肉体美。
 丸太のような腕。艶やかな漆黒のツインテール。ミニスカートからみえる絶対領域。
 そしてチャームポイントに黒の猫耳。
 完璧だ。完璧だよミルたん。どこからどうみても魔法少女だよ。
 ボクは涙を滂沱しながら拍手を送り続けた。


 何を隠そうミルたんこそが、ボクの魔法少女の師匠にしてソウルフレンドである。
 きっかけは、はぐれ悪魔討伐のときだった。
 サーゼクス・ルシファーの依頼で、はぐれ悪魔討伐に行くと、そこには犠牲になった人間の死体が散らばっていた。
 はぐれ悪魔自体はすぐに討伐できたのだが、そこで問題が発生した。
 現場を隠ぺいする前に、人間が現れたのだ。結界を抜けて。
 そのときの人間こそが、ミルたんである。


 あとで聞いたところ、正義の魔法少女としてあちこちで人間を襲う化け物を退治していたらしい。
 人間を殺したのがボクたちだと勘違いしたミルたんと、かつてない大激戦となった。
 駒王町は火の海になり、建物はすべて倒壊した。結界がなかったら大惨事である。
 こうして拳で語り合ったボクとミルたんは、熱い友情を交わしたのだった。
 そして、ミルたんの熱い魔法少女への思いに感銘を受けたボクは、ミルたんとともに異世界に修行にでたのである。


「はやてちゃん、どうかにょ?」

「素晴らしいよ、ミルたん。今日もパーフェクト魔法少女だよ。エヴァは一緒じゃないのかい?」

「エヴァにゃんは茶々丸の調整があるから来られなかったにょ」

「夫の晴れ舞台に来られなくてさぞ悔しかっただろうに。ザフィーラが撮影しているから、あとで見せてやろう。おや? 司会のみんなはミルたんの素晴らしい魔法少女っぷりに圧倒されているようだね」


 覇王色の覇気によって一般人は皆気絶してしまった。
 今残るのは、悪魔関係者のみである。司会の4人とセラフォルーは当然生き残っていた。


「え? 魔法少女? それよりも会場が大惨事だけれど大丈夫なのかこれ」


 慌てるな匙くん。気絶しているだけだから問題ないよ。
 まったく興奮しているからといって覇王色の覇気を纏うなんて。このうっかりさんめ。
 ん? 兵藤くんが震えているようだけれ
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