戦いのための準備
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右、左、右、左、方向を転換させながら標的へ走り出す。片手には黒い鞘。もう片方には刀。白銀に光る刀を添える程度に構えながら、相手の背後へと回り込み、斬る。
「……ッ!!」
しかし、斬った先に相手はいなかった。敵は俺の攻撃をしゃがんで躱し、俺の懐へと潜り込む。このままではまたやられる。そう思った俺は必死の抵抗とばかりに体を横へと倒そうとする。
だが相手の動きは俺よりも速かった。胸ぐらを掴まれ、半分体が浮くのを感じると一気に地面に急降下。
地面スレスレのところで体の落下が一旦止まるとゆっくりと地面に着く。この時点で俺の負けは確定した。
「動きはマシになってきたようだが、動ききれてない部分がある。それと、剣がまだ遅い。これではすぐにカウンターを食らうぞ」
騎士がそうアドバイスをして離れていく。俺も溜め息を吐きたくなるのを我慢して立ち上がる。
この稽古が始まって数時間が経った。最初と比べセイバーの動きが僅かながら見えるようになった。動きも多少良くなったとセイバーも言っているし、自分自身強くなっているような気がしてやりがいがあった。
だが、セイバーに勝つにはまだまだ程遠い。なんせ俺は鎧に当てるどころか、素手にすら負けてるのだから。
スッと息を吸ってまた稽古を始める。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なぁ、なんで俺に剣をすんなり教えてくれたんだ?」
何回も剣を振りながら、そんな事をセイバーに聞いてしまった。彼女はいきなりどうしたと言わんばかりに黙って俺の攻撃を避ける。
「もう少しなんかこう……お前にはまだ早い!的なもの感じで拒否されるかと思ったんだけど」
すると、彼女は溜め息混じりにこう返してきた。
「何を今更言っている?」
ごもっともだ。確かに今更だがなぜそうすんなり受け入れられたのか気になって仕方がなかったのだ。
「オレがお前に剣を教えるのは生き残る術を与える為だ」
攻撃の最中に放った俺の突きを彼女はダンスでもしているかのように回転して避ける。そして、そのままの回転の勢いで拳を瞬時に作り上げ攻撃に転じ始める。
「ッ!!」
俺は体勢を低くし、その攻撃を回避する。頭上を通過する拳に冷や汗をかきながらセイバーに体当たりする。鎧を着ているとはいえ、男の突進を食らっては少しは堪えるはずだ。
案の定、セイバーの体は地面へと崩れた。今だ、俺は片手の剣を鎧へと振り上げる。幸いなことにセイバーの体に馬乗りの状態でいるため、単純に剣を降ろすだけで当たる。
振り下ろそうとした時、
「自分から死地に向かう奴の為に教えるつもりはなかったのだが………な!!」
セイバーがさっきの言葉の続きを言うと、片足を持ち上げた。その足が俺の体に衝
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