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英雄は誰がために立つ
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パー?」
 「ギャスパー君?」

 一誠と祐斗(2人)は、何故こんな事を聞くのか困惑顔をただ浮かべるだけだった。

 『ギャスパー・ヴラディ、君は怪物や悪魔の真の定義を知っているかね?』
 「え?」
 『怪物や悪魔の真の定義とは、強大な異能を持つことや、人外からの生まれや育ち、ましてや血を吸う吸わないかでは無い。力に溺れて心までも魔性に堕ち、自身の内から湧き出る欲望や悦楽を満たす為だけに、他者の命や物を蹂躙する畜生。それこそが真なる悪魔や怪物と言うモノだ』

 この定義こそが、士郎のこれまでの人生の中で理解しえた、真理の一つ。

 その言葉を黙って聞く、蚊帳の外状態の一誠と祐斗(2人)

 『君はそうなりたいのか?』
 「そ、そん訳ありません!!」
 『ならばそこの2人は如何だ?ギャスパー・ヴラディ、君からして彼らは心身とも魔性に浸かり切った畜生に見えるのかね?』
 「それこそあり得ません!!」

 一誠と祐斗(2人)の事の時は、言い淀む事無くハッキリと言い切るギャスパー。

 『ならばそれで良いのではないかね?』
 「え?」
 『異能の力も不安定で、生まれや幼い時に体験した迫害の数々もあれど、君は君なんだ。ギャスパー・ヴラディ。君は・・・君の人生は君自身がこれから決める事だ。未だ周りの状況などについていけなくて怖い事もあれど、幸い周りの者達は悪魔ではあれど、悪人とは程遠い善人だ。立ち上がりたいという姿勢、努力を見せれば、手を差し伸べてくれることだろう』
 「「・・・・・・・・・」」

 聞き入っているのか、呆然とする一誠と祐斗(2人)
 そして、ギャスパーは・・・。

 「あ、貴方は助けてくれますか?」
 『いいのかね?未だ素顔を曝さぬ不審人物だぞ?』
 「そ、そうかもしれませんけど、今の様な事を言う人が悪人には思えません!」

 その言葉に内心、苦笑する士郎。

 『解った。君がもし立ち上がりたいと言うのであれば、力及ぶか解らぬが助力しよう。だから君も、自分のペースでいいから君自身が本気で如何したいのか考えたまえ。そうすれば答えは自ずと見つかる筈だ。難しいだろうがな』

 その言葉と共に、今度こそこの部屋を後にする士郎。

 後に残された3人は、それぞれにある事を思っていた。

 祐斗は、幻想殺しの正体にある程度気付き始めていたため、何故同じ校内の学生であるにも拘らず素顔を隠すのかも含めて疑心で満ちていたが、それが消え失せていた。

 一誠は、実力があるのに素顔を曝さないことに少なからずの反感が有ったモノの、それが霧散していた。

 ギャスパーは言われた言葉から来る意味に嬉しすぎて泣きたい処もあったがそれ以上に、ある大きな感動を胸中全体に渡り、占拠されてい
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