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英雄は誰がために立つ
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な事はいい。それよりも君の神器(セイクリッド・ギア)についてだ』

 祐斗の疑いの眼や一誠の戸惑いの目線を無視して、ギャスパーと視線を同じくらいにするように膝を床に付ける。

 「フェェェェェ!?ご、ごごごごゴメンなさいぃぃぃぃぃぃ!!」
 『君の好きにすればいいが、いちいち謝る必要はないぞ?で、話を戻すが、サーゼクス様から聞いている限りでは、制御が出来ていないんだな?』
 「は、はぃぃぃぃ!」

 そこで士郎は、あらかじめ投影しておいた金と青を基調とした西洋風の鞘を前に置く。

 『これは、あらゆる呪いや最上級の魔法からをも守ってくれる特殊な鞘だ。とは言っても、私が力の解放を行わない限り、単なる鞘でしかないが。これを会談中にもし、君の神器(セイクリッド・ギア)が発動してしまった場合はこれに思いのたけで念じるんだ。そうすれば私に届くので、力を開放しよう』
 「え、え〜と?は、はいぃぃぃ!」
 「「如何いう事(すか・です)?」」
 『・・・・・・・・・』

 渡されたギャスパーは、要領を得られていなかったために意味も解らぬまま頷くだけだったが、一誠と祐斗が当然の様に疑問符を頭上に浮かべるように聞いて来る。

 「会談中に何か起きるんですか?」
 『一応念のためでもあるが、それだけでは納得してくれそうにないかな?』
 「当然っすよ!」

 一誠と祐斗(2人)の真剣な目つきに、溜息をしてから口を開いた。

 『あまり不安心を持たせたくなかったので言いたくは無かったのだが、私の独自で入手した情報では会談を行うこの駒王町の周辺で、不審人物が多く目撃されている様だ』
 「つまり何か起きると?」
 『起きない事には越したことはないが、恐らく今回の会談で和平協定でも結ぶのだろうと言うくらいは聞いている。そうであれば、反対勢力などが利害一致で一時的に組んで、会談の破壊を目論むのは当然だろう?』
 「和平協定!?」
 「会談の破壊!?」

 一誠と祐斗(2人)は幻想殺しの言葉に、いちいち反応するも取り合う気が無い士郎。

 『兎に角、最悪を想定しての事だ。何もなければそれでいい。無事会談を終えたらそれは回収するが、使えるのは一回きりだ。くれぐれも会談前に使わぬ様にな』

 言いたい事が終えたのか、立ち上がると同時に踵を返してこの部屋を出て行こうとする。
 しかしそこで・・・。

 「あ、あの!」
 『ん?』

 ギャスパーの声が幻想殺しに待ったをかけた。
 その声に再度振り向く士郎。

 「あ、貴方は僕の事が怖く・・・ないんですか?」
 『・・・・・・』

 まさか自分から言い出すとは思ってみなかった士郎は、瞠目する。
 そして聞いた本人は、怯え顔である。

 「ギャ、ギャス
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