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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第8話「考えるな、感じろ」
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しておけ」
 そう言い残して、双葉は旅館を後にした。
 どんどん遠くなる背に、お岩とレイは喜んで頷いた。
 再び彼らが訪れるまでには、『美人の仲居』と『ピザ』を用意しておくと。

* * *

 雪がちらつき、デコボコした足場の悪い道を歩く中で、ふと遠くなった旅館を振り返る。
「いるわけない。もうあなたはいないですよね。……松陽先生」
 静かに見据えて、双葉は呟くように言った。
 ただ胸に抱いていたその幻想を。
 温泉旅館『仙望郷』――この世に未練を残した癒えない魂たちが集う場所。
 会えるかもしれないなんて馬鹿馬鹿しい思いで来たが、結果はこの通りだ。
 やはり、もう――
「おーい、双葉!置いてくぞ」
 遠くから聞こえる兄の声に双葉はハッと向き直る。
 不機嫌に、けれどどこかほくそ笑んでいる銀時と苦笑を浮かべる新八。
 子供っぽく怒る神楽とにこやかに立つお妙。
 そんな彼らを見て双葉は思う。
 兄の周りにはいつも笑顔が溢れている。
 過去の衝動は未だ止まらない。
 この中に溶けこむのはまだまだ難しい。
 けれど――それでも今はこの笑顔の傍にいたい、と。

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「ああ、すまない」
 そう言って、双葉は銀時たちの元へ走った。

=終=
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