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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第8話「考えるな、感じろ」
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離してしまうところだった。
 もうあんな想いはしたくない。させたくない。
――……もう離さねぇぞ。絶対ェ離さねぇからな……!
 銀時は双葉を強く抱きしめた。
 もう二度と手離さないため、力一杯に。


【ギンっ!フゥっ!】
 虚無の空間にできた光の裂け目。そこからレイの手が差し伸べられる。
 同じく銀時も双葉を抱えて、光の裂け目に向けて手を伸ばした。
 しっかりと互いの手を掴むと力強く引っ張られ、兄妹は『無』の世界から脱出した。
 歓声を上げるスタンドの新八たちとお岩に囲まれる。
 山から突き抜ける朝日がとても眩しい。同時にここが現実だと思い知らされる。
 銀時と双葉は無事現世に戻って来られたのだった。

* * *

 あれから数日後。残された休日で旅行を楽しんだ銀時たちが帰る日がやってきた。
 考えを改めたお岩の意向で、仙望郷に仕えていた幽霊(スタンド)は成仏した。
 これからは自分の力で癒えない魂を成仏させる、とお岩は意気込んでいた。
「あんたらも成仏出来ない時はまた遊びに来な。一発で昇天させてやるよ」
「ケッ。ババァに背中流してもらうなんざ御免こうむるぜ。来年までにキレイな仲居用意しときな」
 憎まれ口を叩いて旅館に背を向け歩き出す銀時達を、お岩は「またおいで」と見送った。
 銀髪の兄妹にはとんだ目に遭わされた。
 けれどそれは女将として、この仙望郷を見つめ直せる良い機会だった。
 もう自分の我儘で幽霊(スタンド)たちを縛りつけない、とお岩は心に決めた。
 しかしその女将の隣で未だ浮遊している半透明の女性が一人。
「レイ、本当によかったのかい?」
 同じく銀時たちを見送るレイに、お岩は横目で問う。
 旅館の幽霊(スタンド)が成仏する中で、レイだけは仙望郷に残った。まだ自分の何かが彼女を縛り付けているのではないかとお岩は不安になる。
【ああ勘違いしないで。別に女将が心配で残ったんじゃない】
 眉をひそめるお岩に、レイはいたずらっぽく片目をつぶって言った。
【背中を流してやりたい奴らができただけさ】
 その言葉にお岩は声を上げて笑いをこぼした。
 そして次にやってくるお客のために、さっそく準備にとりかかる。
 しかしふと気配を感じて、二人は足を止めた。
 銀髪をなびかせる人間が門の前まで戻って来ていたのだ。
「あら、忘れ物でもしたの?」
 そう聞かれたのは、いつもと変わらない無表情を浮かべる双葉だった。
「おい、ここに……」
 なにか聞きたそうに、けれど開きかけた口を不意に閉ざす。
 しばしの沈黙のあと、双葉は身をひるがえした。
「いや、なんでもない」
 お互いに首を傾げるお岩とレイだったが、かまわず双葉は歩き出す。
【ちょっと……】
「今度はピザを出せるように
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