第六章
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「お母さんの料理は普通に美味い」
「じゃあお母さんにお願いして」
「そうしろ、いいな」
「私が作ったらなのね」
「だから御前の料理はワイルドだからな」
味はいいにしてもというのだ。
「ひいお祖母ちゃんの口に合わない」
「ううん、じゃあお母さんにお願いするわね」
「そうしろ、いいな」
「わかったわ」
仕方ないといった顔だがそれでもだった。チコリはギレットのその言葉に頷いた、そしてこれまで命懸けで集めた食材と鍋を母に差し出してこう言った。
「これでひいお祖母ちゃんの百歳のお誕生日にお料理作ってくれる?」
「あら、これまで何度も遠い場所に行ってたのは」
「そうなの、このお鍋や食材をね」
「集めてたのね」
「そうだったの」
「また無茶をしたわね」
娘の仕事を知っているが故の言葉だ。
「命懸けで」
「いや、別にね」
「嘘言いなさい、どれも珍品中の珍品ばかりじゃない」
母は娘の嘘に優しい笑顔で返した。
「あちこち行ってたし」
「まあそれはね」
「とにかくそれは全部受け取るわ」
その食材はというのだ、鍋も。
「それじゃあね」
「作ってくれるのね、お料理」
「お祖母ちゃんの誕生日にね」
母から見ればそうなる、チコリにとっては曾祖母で。
「作るわね」
「じゃあお願いね」
「それじゃあね」
こう二人で話してだった、チコリは母に集めた食材や鍋を全て預け母はそれを全て使って彼女から見て祖母チコリから見て曾祖母にあたるその人の百歳の誕生日に最高のご馳走を作った。それは彼女の百歳の人生の中で最も美味いものであった。
その誕生日の後でだ、ギレットは家の中でチコリに言った。
「よくやったな」
「そう言ってくれるの?」
「何かって思ったらな」
「百歳だからね」
二人の曾祖母が、というのだ。
「だからね」
「思い切ってか」
「ああしたけれど」
「それがだな」
「いや、いい結果になって何よりよ」
「本当によくやった」
「お母さんが凄いの作ってくれたわ」
「御前に作らせなかったがな」
それでもと言うギレットだった。
「御前が集めてくれた」
「そのことがなのね」
「御前の最高の孝行だな」
「ひいお祖母ちゃん大好きだからね」
「それでも出来ることじゃない、そんな御前が妹だと思うとな」
ギレットは目を細めさせていた、そのうえでの言葉だった。
「俺も嬉しいな」
「そう言ってくれるのね」
「俺も頑張らないとな」
「何かあったら声かけてね、一緒に行けたら行くから」
「その時は頼むな」
妹に尊敬の念さえ向けての言葉だった、ギレットはそんな妹を誇らしくもかつ負けていられないとも思って見ていた、そして。
彼もまた冒険を続けそうして多くのものを手に入れていった、兄妹で
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