第五章
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「それじゃあな」
「悪いわね」
「充分悪い、モンスターから貰った金の六割貰うからな」
「うん、じゃあね」
「そういうことでな」
こう船の中で話した、そしてだった。
チコリは船にその魚がいる海域まで行ってもらってそこで糸を吊るしてだ、そうして一尾の大きな虹色に輝く魚を釣った。
その魚を手に入れてだ、チコリは会心の笑みを浮かべて言った。
「これで揃ったわ」
「凄い魚だな」
「そう、このお魚をね」
「街まで持って帰ってか」
「そしてその時に言うわ」
その時にようやく、というのだ。
「言うから」
「ああ、教えてくれよ」
ギレットは釣った魚をギレットの氷の魔法で完全に凍らせて用意した氷で満たした水槽の中に入れるチコリに対して言った。帰りの海も荒れていたが何とか湊まで着いて。
そこから街からは帰ってだった。
レミは揃えた鍋や香辛料や魚、その他の集めたものを見てだ。
すぐにだ、兄にこう言ったのだった。
「これで最高のものが作られるから」
「最高の?」
「そう、最高のお料理がね」
こうにんまりと笑って言ったのである。
「作られるわ」
「そういえば」
ここでだ、ギレットも気付いた。
「鍋に香辛料に魚に」
「全部そうでしょ」
「食材だな」
「そうだな」
「そう、それにね」
さらにと言うチコリだった。
「その他に集めたものもね」
「全部食材だったな」
「それでなのよ」
「その食材を全部使ってか」
「そう、それでね」
さらに言うチコリだった。
「最高のお料理を作って」
「誰に食べさせるんだ」
「ほら、うちのひいお祖母ちゃんもう百歳じゃない」
「スクッド祖母ちゃんか」
「だからひいお祖母ちゃんのね」
「百歳のお祝いにか」
「作るのよ」
これまで集めた最高の食材や鍋で、というのだ。
「そうするのよ」
「そうだったんだな」
「じゃあいいわね」
あらためて言うチコリだった。
「これから私が作るからね」
「いや、御前の料理はな」
「私結構上手だけれど」
「確かにそんなに悪くないが」
それでもと言うギレットだった。
「味付けがワイルドだからな」
「そうかしら」
「御前の料理は外で。冒険中に食う味だ」
「トレジャーハンターだしね」
「ひいお祖母ちゃんには合わないぞ」
これが兄の言うことだった、この場においての。
「だからな」
「私以外の人が、なのね」
「お母さんに作ってもらえ」
これがギレットの提案だった。
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