第四章
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「クラーケンやシー=サーペントが出て来たらどうするんだ」
「だから倒すのよ」
「御前だけでか」
「同行者いるし」
「そんな問題か、少し待ってろ」
兄はいてもたってもいられないといった顔で妹に言葉を返した。
「今の仕事終わらせたらな」
「あれっ、またなの」
「一緒に行ってやる」
今回もというのだ。
「だから待ってろ」
「何か悪いわね」
「あんな場所一人で行かせられるか」
兄としての言葉だった。
「だからだ、いいな」
「じゃあお願いね」
「それでどんな魚だ」
「かなり大きいお魚みたいだけれど釣れるらしいから」
「釣りに行くんだな」
「あとそれだけなのよ」
その魚だけだというのだ。
「もうね」
「それだけか」
「そう、全部揃うのよ」
「何が全部揃うんだ」
「ちょっとね」
ここから先は言わないチコリだった。
「こっちの事情を」
「話せないことか」
「その時になったら話すから」
「全く、何なんだ」
「まあとにかくね」
「今度は北の海だな」
「そこに行くわ」
こう話してだ、実際に。
チコリは北の海に向かった、ギレットも心配なので同行したが今回の冒険も命を賭けたものになった。
海は荒れ吹雪も来た、船は揺れに揺れて。
海の怪物も次から次に来た、シー=サーペントにクラーケンと。
巨大な怪物が襲い掛かる、チコリはその怪物達とギレットと共に戦いつつ魚を追い求めていた、その中で。
ギレットは妹にだ、船ので問うた。
「ここまでしてか」
「ええ、お魚をね」
「釣って手に入れるんだな」
「そうするから」
「今回の冒険もな」
ギレットは冒険のこと自体を妹に言った。船室の中で干し肉を一緒に食べながら。
「それなり以上に実入りがあるがら」
「クラーケンもシ=サーペントも強いだけに持ってるお金多いからね」
「かなりのものは手に入れた」
その金をというのだ。
「しっかりとな、けれどな」
「どうしてお魚を手に入れるのか」
「それが知りたいが」
「だからそれはね」
「言えないんだな」
「そうなの」
こう言うのだった、チコリはこの場でも。
「だからその時言うから」
「どういうつもりだ」
「まあまあ、今回で手に入れるものは揃うから」
「その魚を手に入れればか」
「それだけでね」
「それでその魚がいる場所まではか」
「もうすぐよ」
チコリは兄ににこりと笑って答えた。
「だからそこまで行って釣ってね」
「それで後は帰るんだな」
「そうするわ」
「じゃあ最後まで付き合ってやる」
ギレットは不機嫌な顔だがこう答えはした。
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