第三章
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「後は街までは楽らしいから」
「砂漠よりもか」
「ずっとね」
「だといいがな」
「盗賊とかは出るらしいけれど」
「やっぱり危ないじゃないか」
盗賊と聞いてだ、ギレットはチコリに眉を顰めさせて返した。
「それだと」
「そうね、けれど砂漠よりはずっと楽らしいから」
「比較したらか」
「もうすぐらしいわ」
「じゃあ今は我慢するな」
こう言った彼だった、そして二人はキャラバンの一行と共に何とか砂漠を越えて街まで辿り着いて香辛料を手に入れた、そのとりわけ高価な香辛料も。
チコリはそれを手にしてだ、満面の笑みで言った。
「よし、香辛料も手に入れたわ」
「それもか」
「そう、やったわ」
こう笑顔で兄に言うのだった。
「お鍋に香辛料もね」
「一体何に使うんだ」
鍋に香辛料と聞いてもだ、ギレットは訳がわからず首を傾げさせた、
「その二つは」
「何だと思う?」
「わかるか、売るのならともかく」
「自分で持っているから」
「それはどうしてなんだ」
「そこでわからないのかしら」
「わかるか」
少なくとも今のギレットにはだった、到底。
「錬金術師じゃあるましな」
「錬金術にはお鍋使うからね」
「香辛料も種類によっては使うみたいだしな」
それでギレットはこう考えたがしかしだった。
どうしてもわからずにだ、こう言ったのだった。
「それか」
「まあ今は内緒よ」
「全く、どうなんだよ」
「とにかく、香辛料も手に入れたし」
「帰るだけだな」
「帰りも気をつけて帰りましょう」
砂漠を越えてだ、長い道を進むからだ。モンスターや盗賊達とも戦いながら。
それでだ、こうも言ったのだった。
「また行く場所、手に入れる場所があるから」
「今度は何処で何をだ」
「またその時に言うわね」
このことは言わないチコリだった、何はともあれ彼女は兄と共に帰路も戦い苦難の道を進んで何とか家に戻った、そして。
すぐにだ、こうギレットに言ったのだった。
「今度は海に行くわ」
「海!?」
「そう、海にね」
こう言うのだった。
「行って来るわ」
「海というとまさか」
「北の海の幻の魚を釣って来るわ」
明るい笑顔での言葉だった。
「それでそのお魚を手に入れるから」
「北、か」
「寒い場所だけれど」
「寒いなんてものじゃないぞ、あそこは」
北の海と聞いてだ、こう返した彼だった。
「凍え死ぬぞ」
「だから普段よりもずっと厚い服を何枚も持って行くから」
「海のモンスターがいるぞ」
「それは倒すから」
「あそこは東の砂漠と同じだけ危ないんだがな」
「それを承知で行くのよ」
あっけらかんまでに明るい返事だった。
「私もね」
「鍋や香辛料の時と同じくか」
「そう、行って来るわ
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