第二章
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「だからな」
「トラックをか」
「それに凝ってみたらどうだよ」
「トラックか」
「よくいるだろ、トラックに凝る奴」
マードックはプレスリーの話からトラックの話にシフトを移した。こちらが今の話の主題であることは言うまでもない。
「それをあんたもな」
「してみろっていうのか」
「それでどうだよ」
これがマードックの提案だった。
「あんたに似合うとも思うしな」
「この図体だからか?」
「まさにトラックだからな」
「ははは、言われてみればそうだな」
ブライアンもマードックのその言葉を否定しない、その大きな口を開いて応えた。
「俺はトラックだな」
「車で言うとな」
「そうだな、しかしな」
「トラックは嫌ない?」
「トラックに凝ってもな」
そうしてもというのだ、ここで。
「俺の家のガレージには置けないからな」
「トラックはか」
「だからちょっとな」
ブライアンはその太い腕を組んで言った。
「それはな」
「無理か」
「トラックを楽しめる奴はそれだけで幸せだよ」
「金だけじゃないからな」
「それだけのスペースも持ってるってことだからな」
「スペースはな」
「うちのホームはニューヨーク州だぜ」
アメリカで最も栄えている州ではある、しかしだ。
「テキサスとかみたいに場所はないからな」
「カンサスとかな」
「だからな」
それで、というのだ。
「トラックはな」
「楽しめないか」
「別のものにするな」
「じゃあどうするかだな」
「いや、トラックは駄目でもな」
ここでだ、今度はブライアンが考える顔になって言った。
「車はいけるな」
「普通の車はだな」
「そうだよ、だからな」
「車に凝るかい?」
「そうしてみようか」
これがブライアンの考えだった。
「ここはな」
「そうか、車自体にか」
「トラックにない普通の車にな」
凝ろうかというのだ。
「そうしようか」
「そうだな、それもいいか」
マードックもブライアンのその言葉に頷いて言う。
「結局同じ車でな」
「車に凝ってもな」
「いい気分転換になるかも知れないしな」
「ちょっとやってみるな」
「ああ、そうしてみろよ」
こうしてだった、ブライアンはシーズンオフに少し車に凝ってみることにした。そしていざ凝ってみるとこれがだった。
かなり深くてだ、マードックの自宅に来てこう言った。
「凄いぜ、車は」
「色々と種類があってだな」
「ああ、しかもな」
「装飾とかアレンジか」
「それもまた凄いよな」
「あんた車持ってるだろ」
「そうじゃないとどうしようもないからな」
アメリカではだ、車社会のアメリカならもう車を持っていて運転出来ることは生きていくうえで必須と言ってもいい。ブライアンも然り
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