第四章
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「これより私はクレバート家のメイドになり」
「そうしてか」
「家の中を調べます」
「成程な、そうしてか」
「はい、それではこれより」
「家の中を調べてくれ」
「そしてです」
月光の方からさらに言って来た。
「ゴンガード家の方にもです」
「メイドとして入りか」
「調べてきますので」
「双方を調べてか」
「そのうえで」
月光は影の世界に生きる者としてはいささか穏やかな調子でディンギルに言って来た。
「黒幕も調べますので」
「そうしてくれるか、しかし」
「しかしとは」
「随分わかっているな」
「こうした仕事のことがですね」
「そうだ、それが忍者か」
「そうです」
まさにその通りとだ、月光はディンギルに答えた。そうしてだった。
早速家の中そしてゴンガード家の捜査も調べた、メイドとしてだけでなく忍者としても両家を調べた。そしてその結果だった。
月光はディンギルの下に戻ってだ、こう報告した。
「まず当家のことですが」
「いたな、婚礼をよく思わない者達が」
「はい、こちらに」
ここで懐から紙を出しディンギルに差し出した、そこに幾人かの名前が書いてあった。
「首謀者はです」
「ふむ、ライスヘルプ子爵か」
「あの方でした」
「前から怪しい男だった」
その男爵についてだ、ディンギルは言うのだった。
「金にも女にも汚く強い者に媚び諂う」
「そうした方だからこそ」
「こうしたことをするか」
「他の首謀者の方はです」
「特にいないか」
「はい、この方だけでした」
「そうか、そしてゴンガード家は」
ディンギルは続いてそちらのことも尋ねた。
「わかったか」
「それはこちらに」
月光は忍装束の懐からまた紙を出した、そこにも何人もの名前が書かれていてだ。その先頭に書かれている名前は。
「あちらはエジリード男爵か」
「その方もですね」
「ライスヘルプ子爵と同じだ」
クレバート家の不穏分子達の首謀者と、というのだ。
「噂に聞く限りではだ」
「お金と女性にですね」
「汚くやはり媚び諂う様な」
「そうした方なのですね」
「どちらも汚いが所詮は小者だ」
「では」
「後ろに何者かがいるな」
ディンギルは両家のそれぞれの首謀者達が所謂小悪党であることを知っていてそのうえでこう判断した。
「間違いなく」
「はい、そのことですが」
「それも調べたか」
「裏にはミザール家がいました」
「あの家か」
ミザール家と聞いてだ、ディンギルはこう言った。
「あの家はな」
「両家をですね」
「目の敵にしている」
双方をというのだ。
「宮廷で勢力を持っていてな」
「それで、ですね」
「宮廷に勢力を伸ばそうとしている当家とゴンガード家を邪魔に思っている」
「だから
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