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くノ一
第二章

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「この者にそなたを守ってもらう」
「家の者全てが狙われているからですか」
「そうだ」
「この両家の和解を快く思わない者達がいるからですか」
「利害や思惑がある」
 グレアノフは政治にそうした、人ならば当然としてあるものをここで話した。
「だからな」
「我が家にもゴンガード家にも」
「和解を思わない者達がいる」
「そうなりますね」
「そしてだ、両家が衝突し続けてだ」
「利を得る家がある」
 ディンギルは冷静な目で述べた。
「そうですね」
「その様だしな」
「では両家のそうした争いを望む者達の後ろに」
「その家がいるか」
「そうも考えられますが」
「確かにな」
 グレアノフはディンギルも言葉に考える顔になり述べた。
「その可能性は高いな」
「はい、ですから」
「両家の争いを望む者達を炙り出すか」
「はい、婚礼を進めその日を待つことも大事ですが」
「危機から身を守るよりもか」
「その危機をです」
 自分からというのだ。
「除くべきとも思いますが」
「言われてみればそうだな」
 グレアノフは我が子の言葉を聞いてだ、納得した顔で頷いた。
「その方がいいな」
「両家の不穏分子を除けますし」
「その後ろに権門がいればか」
「その権門を除けて」
 そして、というのだ。
「我が家もゴンガード家も憂いを消せて邪魔者がいなくなった分力を伸ばせます」
「得が多いな」
「そう思いますが」
「その通りだな、ではだ」
「はい、ここは」
「両家の中の不穏分子を探してだ」
 そして、だった。
「そのうえで後ろに何者かがいるのなら」
「その何者かを突き止め」
「対するか」
「そうしましょう」
「ではそうしよう」
「それでなのですが」
 早速だった、ディンギルはグレアノフに己の目を鋭くさせたうえで述べた。
「そうしたことを調べる為に」
「今度はどうした考えだ」
「はい、この者ですが」
 月光を見てだ、グレアノフは言うのだった。
「忍者とのことですが」
「先程そなたに言った通りだ」
「そうですね、それでは」
 父の再度の説明を聞いてだ、ディンギルは言った。
「忍者は警護にだけ使えませんね」
「忍者の伝説を聞いていたか」
「はい、それによればです」
 今度は月光を見つつだ、ディンギルは言うのだった。
「隠密としても凄腕だとか」
「影の様に速く影の様に隠れ」
「そして情報を集めますね」
「そちらも主な仕事だ」 
 警護の他にというのだ。
「この国の、周辺の国も含めて。どの様な密偵よりもだ」
「腕が立ちますね」
「それが忍者だ」
「ではです」
 それならというのだ、ディンギルは。
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