第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ホテルに博打以外の遊び場、まあ風俗店とかバーとかレストランとかな」
「そうした店もか」
「用意してか」
「人もな、御前等がそうした場所で働いて」
そして、というのだ。
「風俗店はそうした仕事の姉ちゃん達呼んでな」
「その呼んで雇う金もか」
「そうした金も用意してきたのか」
「そうさ、あと宣伝費用もな」
ジェロニモはこちらの予算のことも忘れていなかった、そうしたことも全て頭の中に入れて稼いできたというのだ。
そしてだ、こうも言った。
「全部稼いできた、それでな」
「店開いてか」
「宣伝もしてか」
「そうしていくぜ、いいな」
「何か徹底してるな」
「そこまで考えてるんだな」
「そこまでしないと誰がこんな場所来るんだよ」
ジェロニモは友人達にこうも言った。
「こんな辺鄙な場所にな」
「この居留地にか」
「そうおいそれとか」
「俺達はアメリカ人であってアメリカ人でないだろ」
ネイティブだからだ、ジェロニモはここでもこう言ったのである。
「居留地に押し込められて飼い殺しだ」
「その飼い殺しだからか」
「飼い殺しの立場だからか」
「こんな辺鄙な場所に入っていて」
「押し込められているからか」
「その俺達がこんな場所にいるからな」
それで、というのだ。
「どうにかしてのし上がってせめてでもいい暮らしをする為にはな」
「そこまでしないとか」
「駄目か」
「これがラスベガスにでもいたら違うさ」
彼もいたアメリカだけでなく世界のギャンブルの聖地なら、というのだ。
「普通に店開いて宣伝すればいいさ」
「けれどこの居留地で店を開くとなると」
「そうしないといけないならか」
「ああ、そこまでしないとな」
それこそというのだ。
「駄目なんだよ」
「俺達の立場ならか」
「それでこの居留地にいればか」
「そこまでしないとか」
「駄目なのか」
「これがアフリカ系ならヒスパニックならな」
所謂アメリカでマイノリティーと呼ばれている差別されることも多い立場の人間でも、とだ。ジェロニモは彼が見ている現実を話していった。
「ここまでしなくていいさ」
「あの連中でもか」
「そこまではか」
「ああ、いいんだよ」
まだそこまではというのだ。
「連中は他の場所から来た『本来の』アメリカ人だからな」
「『本来の』か」
「アメリカ人か」
「奴隷あがりにしても他の国から来てるだろ、アフリカ系も」
その彼等にしてもというのだ。
「騎兵隊やガンマン、カウボーイとして俺達のご先祖様とやり合ってきたしな」
「連中もアメリカ人」
「俺達と違ってか」
「正真正銘のアメリカ人だから」
「御前が言うまでしなくていいんだな」
「さっき言ってそこで成功すれば済むんだよ」
ラスベガス
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ