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エコロジー
第四章
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 次のデモにも加わった、今度のデモは最早環境とは関係なかった。但馬だけでなく逵本も参加していて二人に言うのだ。
「いい、今回はね」
「慰安婦への補償を求めるデモよ」
「これから与党の本部前でデモをするから」
「今から行くわよ」
「あの、慰安婦って」
「それって」
 二人は但馬達の説明にだ、驚きを隠せない顔で問い返した。
「環境と関係ないんじゃ」
「また別の問題ですよね」
「僕達環境問題には関心ありますけれど」
「慰安婦は」
「ちょっと、何言ってるのよ」
 但馬は戸惑う二人に顔を顰めさせて怒った。
「これはね、大事なことなのよ」
「あの、環境と関係あるんですか?慰安婦の問題って」
「違いますよね」
「どう考えても」
「全く別の問題じゃ」
「関係なくても大事な問題なの」
 但馬は強引に二人を抑えにかかってこう言った。
「だから私達も参加するの」
「慰安婦のお婆さん達は日本軍に性奴隷にされていた可哀想な人達なのよ」 
 逵本も二人に言って来た。
「だから何とかしてあげないといけないの」
「僕達がですか」
「そうしないと駄目ですか」
「そう、だからいいわね」
「このデモにもですか」
「参加するんですね」
「皆もう来てるわよ」
 団体のメンバー達もというのだ。
「だからいいわね、行くわよ」
「わかりました」
「それじゃあ」 
 二人は釈然としないまま但馬達に従うことにした、そしてだった。
 そのデモに参加した、するとここでもだった。
「闘争!」
「勝利!」
 こうした言葉が叫ばれていた、それで佑樹はまた真宙に囁いたのだった。
「だから何で勝利なんだ?」
「闘争ってね」
「慰安婦の問題を政府に言ってるんだろ?」
「その政権与党にね」
「今回もヘルメット被ってる人いるよな」
「あのヘルメットの人原発の時もいたよ」
 真宙はそのヘルメットを被っているもう六十過ぎと思われる男の顔を見て言った。
「他の人達も」
「ああ、そういえばな」
 佑樹も周りの人間の顔を見回して気付いた。
「何か前に見た人達もな」
「原発の時とね」
「一緒の人多いな」
「そうだよね」
「やっぱりおかしいよな」
「うん、このデモもおかしいよ」
「いや、デモ自体じゃなくてな」
 佑樹は右手を掲げて妙に揃って抗議の声を叫ぶデモ隊の中にいて同じく中にいる真宙にこう言ったのだった。
「この人達そのものがな」
「おかしいね」
「ああ、この人達何なんだ?」
「但馬さんや逵本先生もね」
「何で環境だけ言わないんだ?」
「それもあの文字見て」
 真宙はプラカードの一つを目に止めてだ、佑樹に言った。
「あれ日本語じゃないよ」
「ああ、その慰安婦のな」
「その国の文字だよね」
「どう見てもな」
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