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Angel Beats! the after story
就任式
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そもそも、俺が大山たちといる屋敷は大山組の本家ではなく、若頭である大山を立派な組長として育てるべく造られた分家みたいなもんだ。

そして代々、大山組は組長の就任式が無事に終了すると、すぐさま本家のある都市に行き挨拶、顔合わせをしに行かなければならない。もちろん一生ではないにしろ分家に戻ってくることはほとんどない。

俺は若頭補佐という名目上、分家の方に居続けなければならない。

就任式には分家の若頭補佐の俺はもちろん本家の方の幹部たちも来る。だから、チャンスは今日しかなかった。そう思っていたが、あいつらのおかげで希望が見えてきた気がした。
俺に友を救う勇気をくれた。それだけで十分過ぎるほどだったが、あいつらは危険を顧みず最後まで付き合ってくれると言った。

本当に良い仲間を得たよ俺は。




日向、ひさ子、TK、直井は俺の部屋に泊まらせることにした。直井のやつも渋々の了承だったが、泊まってくれたことには感謝だな。今はぐっすり眠っている。



縁側で夜空を見ていた。明日のために寝とくのが良いだが、寝れなかった。緊張じゃない、恐怖でもない。そうだな高揚と言ったほうが正しいかもしれない。なんたって、仲間と久々に無茶なことをするんだ。心が高揚しない方が可笑しい。

「寝ないのか?」

振り向けば茶髪のポニーテールではなく、青みがかった短髪の男だった。

「寝れないんだよ。俺はあいつらみたいな図太い神経を持ち合わせてないもんでな」

「にやけてる奴がよく言うぜ。お前こそ何年も身を尽くしてきた組に反抗するんだ罪悪感とかないのかよ」

「罪悪感か……もちろんないぜ。俺は大山さえ取り戻せるならそれで十分だ」

俺がここまで昇ってきたのはすべて大山を取り戻すためだ。戦線に馴染めなかった俺に手を差し伸べてくれた親友。

「悪いやつだな」

「お互い様にな」

互いに沈黙を破らず一時の静寂が訪れた。その時間は短いんだが、俺にとっては何時間もの長さに感じた。ずっとこの時間を過ごしていたいんだが、

「もう寝るわ。お前も早く寝ろよな」

欲求には勝てないよな。
大きな欠伸を一つした日向は俺の部屋に戻った。

たった一人の友のためなら地位も名誉もいらない。あの日決意した言葉をあらためて心に刻みつけるように煌びやかな星に手をかざした。








周りとの風景とミスマッチな黒の高級車が十数台止まり、これまたミスマッチな黒服に身を包んだ男性が何十人もいる。

「なぁ、帰っていいかな?」

「いきなり何言ってんだよ日向」

「よくよく考えたら怖いんだけど。見てみろよ部屋から見えるだけでも十は超えてるぞ」

「まるで任侠映画のワンシーンみたいですね」

こん
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