三十六話:最強の骸殻能力者
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、クロノスを相手取れる敵には何か圧倒的に出力で上回れる物で勝負を挑むしかない。
もし、自分のフル骸殻がビズリーのフル骸殻よりも出力が劣っていれば自分は技量の差で負けていただろう。だが、今回はそんなものではない、骸殻の力は同じ、もしくは上で尚且つ技量が上の相手なのだ。しかも、自分の持ちうる技術の全てを彼は知っている。不意を突くことすら難しいのだ。そんな状況故にルドガーはただ黙っている事しか出来なくなっていた。そして、長い沈黙が流れていき、ルドガーの額に冷たい汗が流れ落ちた時、不意にその空気を破る。子供のような声が聞こえてきた。
「我、ヴィクトル見つけた」
「っ! ……こんな所で何をしている―――オーフィス」
「「「「オーフィス!?」」」」
オーフィスと呼ばれた存在は黒い髪、黒い目、黒い服と肌以外の全ての部分が黒づくめの少女だった。一見すればただの少女に見えるかもしれないが、その実その小さな体には無限の力が宿っており、世界を壊す事すら容易い。
なぜ、このような少女がと思うかもしれないがこの少女姿は仮の姿でありその真の正体は
『無限の龍神』という世界最強の一角を担うドラゴンであると同時に『禍の団』のトップでもある。そして、なぜ、そのような彼女がこんな所にヴィクトルを訪ねに来たのかというと―――
「ヴィクトル、我、お腹空いた」
お腹が空いたのでヴィクトルに料理を作って貰う為である。それを聞いたヴィクトルは少し困惑したような顔を浮かべるがやがてフッと息を吐き出し優しげな―――エルに向けるような顔を見せる。そんな顔を見た黒歌はヴィクトルがルドガーであるという事を否応なしに納得してしまう。
ヴィクトルとしては『禍の団』に余り深く関わる気などなくそのトップがどんな人物であってもよかったのだが。
試しに会ってみるとオーフィスは純粋無垢な子供の様な性格で尚且ついつも一人で居るような孤独な少女でもあったのだ。本来であれば見過ごしてもよかったのだがやはり腐ってもルドガーと言うべきか、それとも一児の父親としての本能が働いたのか、ついついそんなオーフィスに対して甲斐甲斐しく世話を焼いてしまったのだ。その結果凄まじく懐かれたのである。そして拒絶するわけにもいかずに今のような関係を続けているのである。そのことに関しては他の団員はオーフィスの力にしか興味がなかったために知らない。そしてオーフィスに向けてヴィクトルが返事をする。
「待っていなさい。すぐに終わる」
「逃げるんだ! 早く!」
そう言ってルドガーたちの方をヴィクトルが再び振り向いたとき、その顔には先ほどまでの温かさは欠片も残っておらず能面のように無表
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