三十六話:最強の骸殻能力者
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「どんな理由でお前が兄貴を殺したのか分からねえけど……ルドガーとは違うだろ」
「……いいや、同じ理由だ。“俺”達は同じ理由で愛する兄さんを殺した」
小猫の拳を躱し、イッセーの左の拳を双剣で受け止めながらヴィクトルはそう返す。
そして受け止めていた、拳を一気に押し返し、素早くハンマーに持ち替える。そのまますぐにハンマーを大きく回し、ハンマーの柄を強く地面に叩きつける。するとイッセーと小猫の足元から巨大な岩石の棘が噴出してくる。
「デストリュクス!」
「……つっ!?」
「くっそ!?」
ヴィクトルの技の前に血をまき散らしながら吹き飛んでいく小猫とイッセー。そんな様子を見ていたヴィクトルの元に銃弾が飛んでくる。ヴィクトルはその銃弾を軽々しく双剣で跳ね返し、それを放ってきたもう一人の自分の元に返す。そしてすぐさま剣を戻し迫って来ていたアーサーのコールブランドを両手で防ぐ。そこから激しい鍔迫り合いの末にヴィクトルが押しきりアーサーを下がらせ、怒涛の嵐のような剣捌きでアーサーを追い込んでいく。
「まさか、これほどの使い手とは……。不思議だ、本来なら心が躍る戦いが、どうもあなたが相手だと物悲しい」
「戦いなど、本来はそう言うものだ。戦いが楽しいなどという戯言は愛する者をその手にかけたことのない人間の言う事だ」
「愛する者を何故、手にかける必要があるのです!?」
「より愛する者を守る為だ! 舞斑雪!」
アーサーの言葉にまるで血を吐く様に叫び、アーサーの体をすり抜ける様に胴を切り裂くヴィクトル。アーサーは何とか深手を負わないように刃が当たる瞬間にほんの少し体を引かせて致命傷を負うのを避けるがダメージを負ったことには変わりがなかった。
ヴィクトルはそんなアーサーにさらなる追い打ちをかけるために一気に踏み込もうとするが横から巨大な槍が現れたためにそれを中断してバックステップを使って避ける。そしてかつての自分と同じ姿をしているルドガーを見て何かを思い出すように僅かに眉をひそめるがすぐにそれもなくなる。
「ハーフ骸殻か……その程度で今の私に敵うとでも思っているのか? 生身でも十分に相手に出来るレベルだぞ」
「………………」
「時歪の因子化の影響を心配しているのか……。確かにこの世界で未来に生きていく上では時歪の因子化しては困るな。だが過去を取り戻す私にとっては願いを叶えさえすれば何の問題もないことだ」
ヴィクトルの話に対してルドガーはただ黙って聞いているだけだった。ルドガーの頭の中には圧倒的に不利だということしか入っていなかった。ビズリーであってもそうであったが、生身であるにもかかわらず骸殻能力者を倒せたり
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