三十六話:最強の骸殻能力者
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た声を上げてしまう。ルドガーが、自分の愛する人が、誰よりも優しい人が兄を殺したということが信じられなかったのだ。例えそれが真実だとしても自分は彼から離れる気はない、というよりも離れられない。それほどまでに彼女はルドガーに依存していたが、だからと言って事実確認をしなくてもいいと思えるほど人間というものは出来ていない。だからこそ、隣にいるルドガーに問いかけた。
「ルドガー……その、本当なのかにゃ?」
「………ああ、兄さんは、たった一人の肉親は俺が殺した」
「嘘…だろ? なあ、嘘だろルドガー……」
黒歌の問いかけにルドガーは肯定の意を示して頷きながら、何かずっと溜め込んでいたものを吐き出すように告白した。その告白にイッセーが信じられないように否定の言葉を求めるがルドガーは黙ってうつむいているだけだった。そこには言い訳も何もない。ただひたすらに事実を受け止めている姿だけがあった。ルドガーの罪は何よりも重く、何よりも尊いものだ。全てを犠牲にしてまでもただ一人の少女を守り抜いた結果なのだ。
守ることを選べば相手を傷つけ、傷つけることを拒めば守れない。この言葉は何も敵に対してだけ使われるものではない。自分の大切な者を傷つけなければ一番大切な者を守り抜けないこともあるのだ。そのことをイッセー達はまだ知らない。ルドガーもそれを教える気はない。それはイッセー達の成長を促すためではなく、ただ、罪は背負い続けるものだと思っているからこそ何も言わずに抱え込んでいるのだ。同情や、信じて貰えるように自分から話すことを彼は是としない。それが間違いだという事を理解していてもだ。
「長話もここで終わるとしよう。……纏めてかかってきなさい」
「私達は八人、黒歌と後の三人を足せば十二人よ。本気で言っているの?」
「君はルドガー・ウィル・クルスニクという人間を舐めすぎている。
それに私は以前、兄と父、そしてかつての仲間達を―――纏めて殺したのだぞ」
次の瞬間、ヴィクトルの双銃が火を噴いた。放たれた弾丸の先にいた朱乃は何とか間一髪のところで横に飛び去り難を逃れたように見えたがそう簡単に逃すほどヴィクトルは甘くはない。
骸殻を一瞬だけ足に発動させ、まるで瞬間移動のように移動し朱乃の横に立ち、驚愕する朱乃の左腕を撃ち抜く。
「くうっ!?」
「なに、私が殺したいのはルドガーだけだ。君達を殺す気はない、少し眠っていろ」
そう言い放つと、朱乃の腹に強烈な蹴りを入れて校舎の壁まで吹き飛ばすヴィクトル。朱乃はなすすべなく校舎の壁に張ってある結界に衝突し、結界に罅を入れてからゆっくりと崩れ落ちそのまま気を失ってしまった。そのことにリアスは激しい怒りを覚えるものの、むやみやたらに突っ込めば次は自分達がああなると
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