暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
策謀
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ラは目を細める。
「中身?」
「普通の火薬に火をつけても、爆発はしないって聞いたことある?爆弾ってのは、ただ火薬を詰め込んだだけじゃデカい爆発なんて起こらない。せいぜい静かに燃焼して燃え尽きるのがオチね。だけど、爆薬にもいろんな種類がある。あの中に入ってる反物質ってのは、その威力も桁違いなら性質も例外なのよ」
「例外?」
「そ。解かりやすいトコだと、ニトロかな。あれは本体そのものに爆発力があるから、ちゃぷちゃぷシェイクしてブン投げるだけで即席の手榴弾になる。反物質もそれで、他の物質と反応してエネルギーを生み出すのよ。振動にさえ気をつければ何てことないニトロと比べて、反物質の場合はあらゆる物質と触れるだけで反応しちゃうから危険度は桁違い。本来は保存も困難な夢物質よ」
なるほど、と立て板に水で流暢な説明を脳裏で反復思考させながら、ユウキは慎重に言葉をつむぐ。
「つまり……できるだけあの卵モドキに流れ弾を行かせないようにってこと?」
「とーぜん、作業中のあたしにもね」
「「「…………………………」」」
「ちょ、ちょっとぉ!そこはカシコマリマシターでしょーがッ!!」
わめく少女の声には耳を貸さずに、残りの三人はそっと中を再度覗い見た。
最大の難関は、敵対NPCが二手に分かれているということだろう。しかもさらに嫌な点は両者が、ちょうどレン達が潜むドアを挟んで部屋の両側に陣取っているということである。
この場合、優先して撃滅すべきなのは当然爆弾のお守りをしている二人組なのだが、しかしそれだと人質の見張り役トリオが爆弾が置いてあるステージ側に躊躇なく銃撃することだろう。
既存の物質と触れるだけで反応してしまうという反物質の特性上、その保管は限りなく困難だ。そのため、あの卵の外殻もかなりの先端技術や硬度を要していると推測される。
しかし、推測はあくまで推測だ。確証がある訳でもない。
何らかの事故で、爆弾の何らかの部位を著しく損傷してしまったら。
何らかの手違いで、安全装置的なものを破壊してしまったら。
そんなバッドエンドはさすがにごめんである。
なまじブツが気密性を要するものだから、余計に心配事は多い。ぶっちゃけ、うっかりで全身スッ飛ばされるようなことにもなりかねない。
「……ちょーっとキツいかなー」
「ここは分担で行こ、レン」
「分けるの?」
こくり、と頷くユウキは真剣な面持ちでドアの隙間を睨んだまま密やかな声を発する。
「うん、レン達は二人を最優先で。人質側の三人はボクがやる」
「はぁ!?じょ、冗談言わないで……!単純に数を比較すれば二対三よ!アンタが一人で二の方に向かうってんならまだ分かるけど、何でわざわざ多いほうに行くのよ!
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