13話 「私は拒絶する」
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実に命中する。
殺人。それは決して赦されることのない咎。
それに他人を巻き込むことなどあってはならない。
だから本当はコンビなど組んでいる訳にはいかないのだ。
目的の為には、私の後ろ髪を引く存在はあってはならない。
目的のためとはいえ彼と共に行動していていいのか。
殺人の片棒を赤の他人に担がせて、利用するだけして去らなければいけない。
いや、それだけならまだいい。ひょっとしたらその復讐の煽りでブラッドの居場所さえも無くしてしまったら――私はなんと醜くて愚かな存在なのだろう。
ヒトを殺し、他人を巻き込むだけ巻き込んで自分はどうなってもいい。
そんなヒトは、それこそ屑だ。自分こそ唾棄されるべき存在だ。
そんな自己中心的で罪深い女の復讐に、彼を付き合わせて良いのか?
でも、ブラッドはそうは考えなかった。
『ヒトである以上は誰にも関わらずに生きていくなんて無理だ。復讐ってのは、そうやって周囲の大切なヒトもそうでないヒトも清濁併呑で巻き込む。お前がしなければいけない覚悟は独りになる覚悟ではなく――大切になったものを喪っても進む覚悟だ』
復讐のためにヒトと関われ、と彼は言った。
復讐する思いが本気ならば、信頼を踏みにじって然るべきだと。
私はその日、巻き込んでもいいかと彼に訊いた。彼は「勝手にしろ」と素っ気なく答え――契約は成立した。
あの頃はまだ、私はそんな出会いがあるとも知らず、我武者羅にパートナーを求め彷徨っていた――
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