13話 「私は拒絶する」
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復讐を為すために。
彼の事を思って助言をしたのではないのかと問われれば、思いやりと打算のハーフ&ハーフだと言わざるを得ない。それは同情している風を装って、利用しているにすぎないのだから。
ブラッドとのコンビ契約の理由は、本当は3つではなく4つある。その4つ目こそが真に肝要な事だった。
あの契約は、私がブラッドを巻き込んでいい期間。
彼が復讐者としての私を許容する事を確約したもの。
『契約者同士は互いの生存を優先し、互いの抱える問題に関して積極的な解決を図らなければならない。以上の項目を満たさないと判断される行為を行った者は、そのマーセナリー資格を剥奪するものとする』
審査会が定めたパートナー・チーム契約の大原則の一つだ。
マーセナリーというのはその多くが、この奈落へ続く古代遺跡の中で戦いに身を投じる以外に生きる道がないような社会不適合者の集まりだ。故に誰もがマーセナリーからの除籍を拒む。
彼は、ここ以外に居場所など無い。
そして私は――このリメインズへ、あるヒトを探すためにここに来た。
そのヒトが私の仇の手がかりを持っている事は分かっている。彼がこの第四都市に入り、それ以降死亡届も転居届も出していない事も。彼は今もこの町のどこかに存在する。その人物を見つけ出すために、彼女は審査会の管理するマーセナリー登録名簿を見つけなければならなかった。
そして、先ほども言ったようにマーセナリーには前科者や過去を知られたくない者が多い。だから審査会は同じ審査会のヒト以外に決して書類を見せてはならない決まりがある。勝手に盗み見れば背信行為として躊躇なく除籍されるだろう。
マーセナリーからの除籍処分は、その多くが再度の登録申請そのものを却下される。
だから失敗は出来ないし、取り返しもつかない。そして――特例的に、審査会に大きく貢献しその利用価値を認められた者は、稀にその資料の閲覧を許されることがあると聞いた。事実、ブラッドは過去に一度審査会の抱える資料を読むことを許されたことがあった。
それを知った時、千載一遇のチャンスだと思った。
一度許されたのなら二度目もありうる。そしてそのパートナーならば、同じように資料の閲覧を許可される可能性は十分にあった。何よりこれでフリーでいるより圧倒的に審査会の目に留まりやすい。彼のコンビという最も確率の高い場所以外では何年待たなければいけないのか話あったものではないし、周囲からの自分の評価はとても低かった。認めてもらうには、この街で最強と謳われる彼の後ろ盾が欲しかった。
だが、ある時ふと気づく。
復讐のために武器を取った以上、いずれは全てを捨てなければいけない。
何故ならその武器はいずれ憎むべき敵へと付き付けられ、それは殺人と言う端的な事
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