第二章
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「それこそな」
「洒落にならないぜ」
そうなるともっぱわの話だった、とにかく奈央は決して嫌われてはいないむしろ尊敬されているがそうした対象には思われていなかった。
だがその奈央にだ、ある日学年主任の先生がこう言って来た。
「私にですか」
「うん、生徒の恋愛についてね」
「指導しろと」
「そうしてくれるかな」
こう言うのだった。
「今回ね」
「私がですか」
奈央は生真面目そのもののl口調で学年主任に返した。
「生徒達に」
「うん、恋愛のね」
「わかりました」
これが奈央の返答だった。
「引き受けさせて頂きます」
「そういうことでね」
「それでは」
こうして奈央は生徒達に恋愛指導をすることになった、だがその話を聞いて。
他の先生達は学年主任にだ、いぶかしむ顔で尋ねた。
「あの、どうしてですか?」
「どうして辻井先生なのですか?」
「辻井先生が恋愛指導とは」
「どうにも」
イメージに合わないというのだ。
「辻井先生に恋愛指導とは」
「どうにも」
「いや、実はね」
学年主任は先生達に真実を話した、何故奈央なのかを。
「どんなのかって思ってね」
「どんなのかとは」
「一体」
「辻井先生の恋愛観、そしてどんな指導をするのか」
そうしたことをというのだ。
「興味があってなんだ」
「それで、ですか」
「辻井先生にですか」
「そうだよ、恋愛はね」
それはというと。
「高校でもね」
「それはありますね」
「私も彼女がいました」
「私もです」
「そうでした」
先生のうち何人かが告白してきた。
「交際していました」
「高校時代はやはり」
「そうしたことがありますね」
「それでも青春ですから」
「それで」
「そうそう、それだけにね」
主任先生はここで真面目に言った。
「恋愛についてしっかりと教えることはね」
「絶対にですね」
「必要ですね」
「そうだよ、だから辻井先生にもね」
「生徒達に教えてもらい」
「そして辻井先生の恋愛もですね」
「見てみたいんだよ」
彼女のそれもだというのだ。
「確かに生真面目で厳しい人だけれどあの人も人間じゃないか」
「人間だからですね」
「それで」
「そう、人間ならね」
それならというのだ。
「人間は恋愛をするものでそれについて考えるものだから」
「絶対にですね」
「そのことは」
「そう、あの先生の恋愛観とそれについての教育を見せてもらおう」
こうしてだった、奈央が生徒達に恋愛について教えることが正式に決まった。そしてその教育はというと。
生徒達にだ、奈央は教壇に軍服の様な露出のない格好で姿勢よく立ちそのうえで確かな声でこう言った。
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