4部分:第四章
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クは少佐になった。そのことはマリーにも伝えられた。だが夫の勤務のことを知らない妻はいささか能天気にこう彼に言うだけであった。
「最近浮気しなくてよかったわ」
「浮気どころじゃないんだよ」
その最新鋭機のテスト飛行だけでなくパイロットして様々な意見を述べたりしている為多忙なのは妻に隠しての言葉である。
「それこそな」
「忙しいのね」
「毎日帰り遅いだろ」
このことを述べてみせた。
「本当にな」
「仕事で遅いのは結構なことよ」
またしても能天気に言う妻だった。
「それはね」
「まあそう思っておいてくれ」
「安心して」
笑って言ってきたマリーだった。
「それはね」
「安心してって何がだよ」
「それには一向に構わないから」
「言ってくれるな。俺が過労死してもいいっていうのかよ」
本気ではないがむっとした顔を作って言い返すジャックだった。
「そうなったら困るのは御前だろう?」
「そういう人?あんたが」
しかしそのマリーは笑ったまま言い返してきた。
「過労死する様な人なの?」
「俺がそんな風に見えるか?」
するとジャックは軽い笑みで返してみせた。
「それ位なら遊び疲れて死んでやるさ」
「そうでしょ。だからそれは安心してるさ」
「へっ、そう思っておいてくれよ」
「それでだけれど」
軽いやり取りを終えて話を変えてきたマリーだった。次に話すことは。
「今日の晩御飯だけれど」
「ああ、何だ?」
「グラタン作るわよ」
それだというのである。
「牡蠣のグラタンね」
「ああ、いいな」
牡蠣のグラタンと聞いて期待する笑みになるジャックだった。彼もマリーも牡蠣は大好物である。結構食べる時の多いものでもある。
「じゃあそれを頼むな」
「チーズとガーリックもたっぷり使ってね」
「身体によさそうだな」
「だからなのよ」
だからこそ作るというのである。
「パイロットは体力がないとね」
「そういうことだな。じゃあ頼むな」
「ええ。それとワインは」
「白でな」
仕事を忘れて今は楽しい食事のことを考えるジャックだった。とりあえず太平洋連合の最新鋭機のことは忘れて。そうして今は食事に頭を切り替えて戦いの合間の息抜きを楽しむのだった。
最新鋭機 完
2009・11・5
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