第4部 誓約の水精霊
第7章 遭遇
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った。
クロムウェルは水の精霊から盗み出したアンドバリの指輪で、死んだウェールズに偽りの命を与え、アンリエッタを攫おうとしたのだ。
ウェールズが一歩、歩み寄る。
「久しぶりだね、ウルキオラ君」
微笑しながら呟いた。
「アンリエッタを攫って、どうするつもりだ?」
「おかしなことを言うね。どうするも何も、彼女は彼女の意思で、僕につき従っているのだ」
「なんだと?」
ウェールズの後ろから、ガウン姿のアンリエッタが現れた。
「姫様!」
ルイズが叫ぶ。
「こちらにいらしてくださいな!そのウェールズ皇太子は、ウェールズ様ではありません!クロムウェルの手によって、アンドバリの指輪で蘇った皇太子の亡霊です!」
しかし、アンリエッタは足を踏み出さない。
わななくように、唇を噛みしめている。
「……姫様?」
「見ての通りだ。さて、取引と行こうじゃないか」
「どういう意味だ」
「ここで君たちとやりあってもいいが、僕たちは馬を失ってしまった。朝までに馬を調達しなければならない。道中危険もあるだろう。魔法はなるべく温存したい」
タバサが呪文を詠唱した。
『ウィンディー・アイシクル』。
タバサの得意な攻撃呪文だ。
あっという間もなく、何本もの氷の矢がウェールズの体を貫いた。
しかし……、驚くべきことに、ウェールズは倒れない。
そして、見る間に傷口はふさがっていく。
ウルキオラは超速再生か?とも思ったが、アンドバリの指輪の力だと感じ取った。
傷口がふさがった際に、魔力の流れを感じなかったからだ。
「無駄だよ。君たちの攻撃では、僕を傷つけることはできない」
その様子を見て、アンリエッタの表情が変わった。
「見たでしょう!それは王子じゃないわ!別の何かよ!姫様!」
しかし、アンリエッタは信じたくない、とでもいうように首を左右に振った。
それから、苦しそうな声でルイズたちに告げた。
「お願いよ、ルイズ。杖を収めて頂戴。私たちを行かせて頂戴」
「姫様?何をおっしゃっているの!姫様!それはウェールズ皇太子じゃないの!姫様は騙されているんだわ!」
アンリエッタはにっこりと笑った。
「そんなことは知ってるわ。でも、それでも私は構わない。ルイズ、あなたは人を好きになったことがないのね。本気で好きになったら、何もかも捨てて、ついていきたいと思うものよ」
「姫様!」
「これは命令よ。ルイズ・フランソワーズ。私のあなたに対する、最後の命令よ。道を開けなさい」
杖を掲げたルイズの手が、だらんと下がった。
アンリエッタの決心の固さに、どうにもならなくなってしまった。
歩みを始めた一行
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