第4部 誓約の水精霊
第7章 遭遇
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いウェールズの言葉の一つ一つが、アンリエッタを何も知らない少女へと戻していく。
アンリエッタは子供のように何度も頷いた。
まるで自分に言い聞かせるように。
それからウェールズは立ち上がる。
部下の騎士たちが近づいてくる。
よく見ると、その胸や喉には致命傷と思える傷がついていた。
しかし……、彼らはそれを気にした様子を伺わせない動きを見せていた。
彼らは倒れた馬を確かめ始めた。
しかし、すべて事切れている。
すると、次に彼らは草むらの中へと、一人、また一人と一定の距離をとって、消えて行った。
待ち伏せの陣形だ。
何らの意思の疎通の素振りもないままに、ウェールズを含む一行は統一のとれた動きを見せていた。
まるでそれ自体が一個の生命体のように。
風竜で飛ぶウルキオラたちは、街道上、無残に人の死体が転がる光景を見つけた。
風竜を止め、その上から下りた。
「ひどい…」
ルイズは呟いた。
焼け焦げになった死体やら、手足がバラバラにもがれた死体やらがたくさん転がっている。
血を吐いて倒れた馬とヒプグリフが、何匹も倒れた。
女王を追ってきた貴族たちだろう。
「生きてる人がいるわ!」
キュルケの声で、ルイズが駆けつける。
腕に深い傷を負っているが、命に別状はないようだ。
「大丈夫?」
モンモランシーを連れてくればよかった、とルイズは後悔した。
このぐらいの傷なら、彼女の水の魔法でなんとかなるかもしれない。
「大丈夫だ……、あんたたちは?」
「私たちもあなたたちと同じ、女王陛下を追ってきたの。いったい、何があったの?」
震える声で、騎士は告げた。
「あいつら、致命傷を負わせたはずなのに……」
「なんですって?」
しかし、それだけ告げると騎士は首を傾げた。
助けが来たという安心感からか、気絶してしまったらしい。
ウルキオラの顔色が変わる。
探査回路が、こちらへの飛来物を教えた。
ウルキオラは、両腕を横に広げ、両手の人差し指から虚閃を放とうとする。
その瞬間、四方八方から、魔法の攻撃が飛んできた。
虚閃が魔法を包みこむ。
虚閃が魔法攻撃をかき消し、そのまま直線上の木々をなぎ倒していく。
草むらから、ゆらりと影が立ち上がる。
一度死んで、アンドバリの指輪で蘇ったアルビオンの貴族たちであった。
キュルケとタバサが身構える。
しかし、敵はそれ以上の攻撃を放ってこない。
なにか理由があるのだろうか。
緊張が走った。
その中に、懐かしい人影を見つけ、ウルキオラは目を細めた。
「ウェールズ」
やはり、彼だ
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