3部分:第三章
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第三章
ジャックはそれを見て乗機を下にやって上を完全に押さえた。そのうえで照準を合わせる。
バルカン砲のそのボタンを押す。当然本物ではなくカメラである。
その戦闘機の姿が撮影された。つまりバルカンで撃墜したのである。
「よし」
ジャックはそれを確認して微笑んだ。
「やったな。俺の勝ちだ」
「まずはおめでとう」
それを聞いた将軍から労いの言葉が来た。
「それではだ」
「それじゃあ?」
「今度は逃げてくれ給え」
「逃げるっていいますと?」
ジャックが今の言葉に首を傾げさせるとだった。撃墜したことになっているその戦闘機達が向かって来て。そのうえでミサイルを放ってきたのである。
「なっ!?」
「そのミサイルをかわしてくれ」
将軍は平然と言ってきた。
「いいな」
「なっ、やばい!」
彼は咄嗟にまた上に宙返りをした。それでミサイルをかわしてみせる。これには動かした彼ですら唖然とするものであった。
「この運動性能は・・・・・・」
「やはりな」
それを見て冷静に述べた将軍だった。
「この機体の運動性能は想像を絶するものだな」
「?想像を絶する?」
今の将軍の言葉を聞いて首を傾げさせたジャックだった。言葉が自分達の国の機体について語るものにしては随分と冷めたものだったからだ。
それで首を傾げさせて。とりあえずミサイルをかわしたことに安堵しながら将軍に対して問うのだった。
「あの、今の言葉は」
「後で話す」
ここではこう言うだけの将軍だった。
「後でな」
「そうですか。後で、ですか」
「そうだ。とりあえず今のテストは終わった」
それは終わったというのである。
「御苦労だった」
「そうですか。終わりですか」
「そうだ。では話は君が戻ってからだ」
何はともあれそれからだった。彼は着陸し軍服に着替えて将軍のところに来た。実に厳しい顔の初老の男が管制塔において彼に対して言ってきたのであった。
「まずあのミサイルだが」
「下手しなくても死んでましたよ」
彼はこのことには抗議めいて返した。
「私みたいな天才じゃなかったら一発でしたよ」
「そうだな。間違いなくな」
「そうですよ。何であんなことをしたんですか?」
「あのミサイルは信管を外してあった」
それがないというのである。
「だから万が一命中したとしても大事にはならなかった」
「いや、それでも死ぬ可能性は高かったですよ」
「君なら確実にかわせると確信していた」
今度はこう言う将軍だった。語るその顔が厳しいままである。
「君の技量ならばだ」
「俺ならですか」
「それ以上にだ」
眉を顰めさせいぶかしむ顔になっている彼にさらに話すのだった。
「あの機体ならな」
「そういえば閣下は」
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