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緋弾のアリア-諧調の担い手-
赤い夢
第三話
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アは、時夜の存在に同調しているわ。…内側から、問題点を探すって』

「そう、今の所は八方塞がりね。…早く、良くなりなさいね時夜」


そうして、眠る時夜の手を姉はそっと握った。
祈る様に、一刻も早い快復を願って。







1







文side
《幼稚園・教室》
AM:11時1分


陽気な日差しが入り込み、教室を暖かな空気が包み込む。
けれど、それとは裏腹に私の心内は晴れる事はなかった。


「…………」


授業の最中。
対して勉学に身が入らず、私は今日何度目かの彼の机を見つめた。
だけど、そこにいるべき机の主は存在しない。

……時夜くんが倒れてから既に、三日が経った。

今朝も、幼稚園に登校してくる事はなかった。
三日前の登校時に、突如として高熱を出して昏睡に陥った友人。

彼の身体に触れた故に、心配になってくる。
あれだけ衰弱していたのだ。何か重い病気にでも罹ったのではないかと不安になる。

今朝も他学年からライカちゃんと、芽衣夏ちゃんが自分達の教室まで様子を見に来ていた。
そんな事を思考していると、時間は優に過ぎ、昼の時間を知らせるチャイムが鳴り響いた。







2







お昼の時間となり、私は亮くんとお弁当を広げていた。
本来ならばここに、彼もいる筈なのだ。いない故に、それが逆に違和感を感じる。

折角お母さんが用意してくれたお弁当なのに、それに手を付ける気になれなかった。


「……時夜くん、大丈夫かな?」


独白の様に、自然と言葉が零れた。


「…時夜くんが心配かい?」

「…うん、心配じゃない訳がないのだ。亮くんは心配じゃないの?」

「…気持ちは、僕も痛いほど分かるよ。だけれど、それで僕達まで病気になってしまっては、元も子ないよ」

「……解ってる。理屈とか、頭では解ってはいるの」


自分でも自覚する程に弱々しく、そう呟く。
でも、そうしたくても。何時もいる友人がいないと無意識の内に探してしまう。
いつも彼が座っている席を見ても、そこは空っぽで…。

思わず、彼が倒れた光景が脳裏から離れない。


「気を張れとは言わないよ。…けど、本当は我慢しているんだ。ライカちゃんも、芽衣夏ちゃんも……当然、僕もね」

「……うん」


皆、時夜くんの事を心配している。それは変わらない。
…私一人だけが、めそめそとしている訳にはいかない。

きっと、この場に時夜くんが確りしろと活を入れられる事だろう。


「……亮くんは強いね」


目の前の少年が、とても同年代に見えない程に大人びて見える。


「そんな事
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