陽だまりの日々
第二話
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った。
この子がその小さな背中に何を背負っているかは解らない。
…けれど、いつかこの子が自分から語ってくれるまで待とう。
自分達は家族なのだ、それが如何様な事でも受け入れよう。
3
「…っ……んっ」
朧気な瞳を擦り、周囲を見回す。
何処か、目線が高くなっている様な気がする。
俺は覚醒しきれていない頭で、状況を理解しようとする。
「…起きましたか、時夜?」
「おっ、起きたのか時夜」
俺の視界の右にお母さんが映り、前方からお父さんの声が聞こえてくる。
そこで漸く俺は現状を理解した。視界が高くなっている事も納得がいった。
…そっか、人混みで具合悪くなっておんぶしてもらってたんだっけ。
「うん、おはよう。お父さん、お母さん。…もう大丈夫だから降ろして?」
「まぁ、あと少しで着く。だが、また目眩がしても大事だしな、もうちょっとおぶさってろ」
「…恥ずかしいから、降ろして欲しいんだけれどなぁ」
まぁ、確かにその通りだろう。正論だ。
また途中で具合悪くなって気を使われるのも気が引ける。
ならば、多少の恥は捨ててでも、まだ背負われておくべきか。
「じゃあ、お父さん幼稚園までゴー!!」
「ああ、行くぞ時夜。しっかり掴まってろよ?」
「もう二人とも。…転ばないで下さいね?」
若干の早歩きで、俺を背負い歩くお父さんと、暖かい眼差しで後ろから見守るお母さん。
前世での幼い時でも、こうして親に甘える事は滅多になかった。
今はこの暖かい陽だまりの日々に身を置くのも、良いのかもしれないと思う。
4
暫くして、近代的で西洋の風調が混じった建造物が見えて来た。
お父さんが言うにはその建物が俺の通う幼稚園らしい。
昨今不足している幼稚園に入れたのは幸運かもしれない。
そこは影ながらに、凍夜が武偵としてのコネを使ったのだが、時夜はそれを知らない。
俺が今日から通う幼稚園は、近年出来たばかりの新設の幼稚園らしい。
この幼稚園にはお父さんの知り合いの子供も通っているとかなんとか。
年中さんとして、俺は途中編入する事になる。
建物が近づくにつれて、俺の心音が上がっていく。
それこそ、お父さんに背中を通して聞こえんばかりにだ。
別に、人見知りをするという訳じゃない。
けれど、今日から知らない人間と一緒だと思うと少々不安にもなってくる。
だが、それもあるがそれと同時に期待も胸にある。
余談だけれど、出雲を離れる際。
暫くは、此方の世界で暮らす事に俺はなる。
出雲を離れる俺に対して、特にルナお姉ちゃんが涙を流し
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