第17話 She is Rana Linchen 1
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ポツリと、隣にいる二人に聞こえる程度の声で呟くと、二人の背筋がとてもいいものになった。
そして、サテライザー先輩に対してついさっき言っていたこととはまるで反対の台詞を並べ始める。
そうか、お前らそんなにこの人が怖いのか。今度そのネタで遊んで見よう。
サテライザー先輩は、そんな二人に目もくれず、俺へと近づいてくる。
「アオイ・カズト……」
「…え、あ、はい。」
先輩に突然名前を呼ばれ、思わず間の抜けた声を出してしまう。
ふと、先輩と目を合わせると、そこには何時もの獣のような威圧的な雰囲気はなく、どこか優しい雰囲気が出ている。
「少し話があるの。来てくれる?」
「わ、わかりました。」
いつもとは違うサテライザー先輩にドギマギしながらも先輩の後をついていく。
そういえば、サテライザー先輩が俺の名前を呼ぶのは、初めてではないだろうか?
連れてこられたのは屋上。カンナヅキと戦ったのも同じ場所だ。
「あの……呼び出されるのは慣れてますし、こっからバトルって展開にもなれてるんですけど、できれば理由を説明していただければなぁ…とか、カズトはカズトは思ってみたり……」
「ち、違うわよ??そんなことしない!」
俺のちょっとしたジョークにサテライザー先輩は大慌てで否定する。
顔は、触れてもいないのに真っ赤に染まっている。出会った頃では考えられないような表情に、俺は思わず頬を緩ませる。
「じゃあ、ご用件は……?」
「え?あ、うう……」
先輩は黙り込み、俯いてしまう。
悪いことを聞いてしまったのだろうか?と、一瞬思ったがそれは杞憂のようだ。
サテライザー先輩が俺の手を取り、それを自分の頬にあてる。
「ってええええ????」
予想外の行動に俺は思わず声をあげるが、先輩はそんなものは気にせず愛おしそうに手をさする。
その手つきは艶めかしく、鼓動が天井上がりに跳ね上がる。その手つきとは真逆に、サテライザー先輩の表情は羞恥に染まっている。そんなに恥ずかしいのならやめればいいのに……
「やっぱり……」
「え?」
先輩が目をゆっくりと開け、俺を見つめてくる。その目には、どこか熱がこもっていた。
「貴方になら…触られても、平気みたい。」
ドキリとした。にやけそうになるのを、鋼の自制心で我慢する。
先輩は俺の手を離し少し距離を取る。
「貴方…フリージング使えるわね?」
「……あ、はい。一応は……」
フリージングだけでなく、他にもパンドラ特有のことならある程度できるのだが………そういえば、パンドラモードは使えねぇや。
「………してあげる。」
「え?」
「貴方を…私の、リミッターにしてあげる……」
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