第17話 She is Rana Linchen 1
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「56%………ですか?」
三日前のことだ。俺は定期検診のためにある町の医者のところまで来ていた。カエル顏で、少し威厳に欠けるけれど、腕は確かだし、俺の体質のことも理解しているのでとても助かっている。
「うん。今までの数値は52%だったけど、それがここ数週間で4%もあがってるねぇ。」
カエル先生は、少し悩むような顔をし検査結果が記されているプリントを眺める。重大なことなのだろうが、カエル顏のせいであまり重大なことに思えない。
「まぁ、大丈夫かねぇ。問題もないみたいだしねぇ。」
「え、大丈夫なんですか?」
軽い調子で言われ、思わずこけそうになるが、なんとか止まる。
「うん。日常生活に異常はないんでしょう?」
「え、ええ……まぁ。」
「だったら、問題ないねぇ。今日はもういいよ。」
拍子抜けだが、先生がそう言うのならばそうなのだろう。
結局、一抹の不安を抱きながらも俺はその日、先生の病院を後にした。
で、現在。
「ちょっと!聞いてるの??」
「……あ、ごめん、聞いてなかった。」
「おいおい、大丈夫か?」
授業間の休み時間、アーサーとヒイラギさんが俺に話しかけていた。
「大丈夫だよ。少しボーッとしてただけだから。」
「へぇ、ひょっとして、サテライザー先輩のことか?」
少し違うのだが、はっきりと違うというのもアレなので、やんわりと笑いかける。
「まったく。それで?」
「それでってなんだよ、ヒイラギさん。」
「何じゃないでしょ!サテライザー先輩とはどうなったのよ。」
「いや、何も。」
ヒイラギさんからの問いに素直な返答を返すと、一瞬空気が凍りつく。
「嘘でしょ?」
「いや、マジマジ。謹慎解けてから一度も話してない。」
「あんな体張ったのに??」
「カズト、悪いことは言わない。サテライザー先輩には関わるな。」
ひどい言われようだ。
そりゃ、確かにあの人は強いし怖いし、恐いけど…………あれ、何だろう。こんなに言われても仕方ない気がする。
「まぁ、確かに美人だけどな。」
「だろ?だから二人ともそんなに言うなよ。」
「でもね、綺麗な花には、棘があるのよ?」
ヒイラギさん。台詞がクサイよ。
「そうそう。それも、飛びっきりの毒の棘がね。」
アーサー。乗っかるなよ。外人なだけあってなんか似合っちまってるぞ。
「なんでそこまであの人を……」
俺が素朴な疑問を言おうとした、その時だ。後ろから足音が聞こえた。
カツカツっと、ブーツの踵を鳴らしながら、その人は近づいてきた。
美しいブロンドの髪が日の光に照らされ、まるで一枚の絵画のような印象をこちらに与える。
もう言わなくても分かるだろ?
「サテライザー先輩?」
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