三十五話:歪んだ歯車が動かす者
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いく。
「俺も長い間、生きてきたけどよ。今まで骸殻なんて力もクルスニク一族なんて奴らも聞いたことも見たこともない。おまけにリドウって奴もお前もどんなに調べようとしても過去が一切出てこない。……まるで突然この世界に現れたみたいにな」
疑いの目線を強めて俺を見て来るアザゼル様。……まるで突然この世界に現れたみたいか。
まるでじゃなくて、その通りなんだけどな。まあ、普通に考えたらそんな事あるわけないって思うよな。俺なんかはまだ分史世界のことを知っていたからこの世界に関してもそこまで違和感なく受け入れられたけど。
そんなことを知らない人からすれば世界が複数あるなんて眉唾物もいいところか。
さてと……どうやって答えたらいいかな。嘘は効かないだろうし……取りあえず、
クルスニク一族についての説明位ならいいかな。そう思って口を開く。
「俺は―――」
「契約により呪われし一族のその末裔……それとも世界の破壊者とでも言おうか?」
俺の言葉を遮り、この場にはいないはずの人間の声が響く。その事にこの場に居る全員が驚き声のした方を向くと、ゆっくりと会議室の扉が押し開けられ、黒い髪に黒い服、黒い手袋、そして顔を覆う黒色の“仮面”を身に付けた男が入って来た。
そうか……最近感じていた嫌な予感や同じ鼓動は全部こいつだったのか。リドウ以外にも新しい審判に関わった人間がいるのは分かっていたけどまさかこいつだったなんて…っ!
「久しぶりだな―――ルドガー・ウィル・クルスニク君」
「―――ヴィクトル!」
会議室にいる全員の視線はたった今現れた仮面の男―――ヴィクトルに集中する。
だが、ヴィクトルはその視線をものともせずに壁にもたれかかり、
ただ、一人、ルドガー・ウィル・クルスニクを仮面の下から睨み続ける。
そんな形容しがたい空気の中、サーゼクス・ルシファーが果敢にもヴィクトルに話しかける。
「……ここに来るまでに相当な数の警護の者がいたはずだが、どうしたのかね?」
「ちょっとしたウォーミングアップに付き合って貰っただけさ。なに、死んではいないさ」
ヴィクトルのその言葉にこの場の緊張感が跳ね上がる。相手が明確に敵対の意志を見せてきたのだ、それは当然の反応だろう。しかしながらそんな場の様子にも警戒することなくヴィクトルは平然と壁にもたれかかっているだけだ。その様子にアザゼルは不気味さを覚えたがそれを表に出すことなくこちらも平然とした風を装いヴィクトルの正体を知るために口を開く。
「お前に聞きたいことが幾つかあるんだがいいか?」
「何かね」
「さっきの契約により呪われし一族のその末裔と世界の破壊者ってのは一体どういう意味だ?」
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ