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駄目親父としっかり娘の珍道中
第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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に見つけた事が出来たが、あれがもし完成したらとんでもない事になるぞ。何せ、あれを用いれば戦闘経験のない素人でさえも化け物並の戦闘力を手に入れる事が出来る。もし、あれが過激派の攘夷志士達の手に渡ったりしたらと思うとぞっとする」

 同じ攘夷志士である桂が言うのであれば信憑性が高い。今でこそ桂は過激派から穏健派へと鞍替えしており、今では穏便に事を済ませる事に努めている。そんな桂に賛同してか、大多数の攘夷志士達も桂の意志を汲み取り主だった動きは見せないでいるのが現状だ。
 だが、中には桂のやり方に不満を持つ攘夷志士達も中にはいる。それが過激派の攘夷志士達だ。その中には桂を打ち倒して攘夷志士の先頭に立とうと言う野心を持った輩が居ないとも言い難い。
 もしそんな輩の手に紅桜が渡ったりしたら、それこそ高杉の描いた絵図通りの展開になってしまう。
 それだけは阻止しなければならない。それが桂の使命であった。
 だが、銀時の中には別の使命感が内から湧き上がっているのを感じていた。

(あの紅桜が桜月をベースとしてかはたまたネタにして作ったかは分からないが、あれの制作に桜月が絡んでるのは間違いない。だからあいつが俺に白夜を託したんだろうな?)

 ふと、銀時は自分の脇に置かれた白夜を見た。桜月を模して造られた紅桜を破壊出来るのは恐らく白夜のみだろう。そして、その白夜も桜月も元は紅夜叉が使用していた刀だ。その刀を悪用される事は銀時にとっては溜まらなく屈辱でしかないのだ。
 かつて共に戦場を駆けた仲間でもあり、同時に大切な存在でもあった紅夜叉が残したこの世界に二つとない形見。それをこんな形で使われてしまっては死んだ紅夜叉も報われないだろう。
 それに、彼女が悲しむ顔を銀時は見たくなかった。戦いを誰よりも嫌う彼女の事だ。自分の愛刀が悪用されてると知れば必ず悲しむ筈。それだけは断固として阻止したかった。

(紅夜叉、お前の愛刀暫く借りるぜ。だけど、事が全部済んだら必ずお前に返す。白夜と桜月、必ずセットにして返してやるからよ。その時までこいつを使わせてくれよな)

 白夜を強く握り締め、銀時は固く決意した。生きている者が死んでしまった者に出来る事。それは死んでしまった者の生きた証を守り抜く事だ。
 その為にはあの紅桜をこの世に残してはならない。一本残らず破壊しなければならないのだ。
 そして、最終的にはこの白夜も、そして桜月もこの世から抹消しなければならない。
 それこそが、彼女の望みなのだから―――




     つづく
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