第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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でしたり顔でこちらをチラリチラリと確認するように視線を動かす仕草をしていた。何処となくソワソワしているように見せている感が見え見えな為に余計に腹立たしく見える。
「んだよヅラァ。言いたい事があんなら早く言えよ」
「ようやく来たか。うむ、では言うとしよう。その前に一言言わせろ」
「何だよ?」
「俺はヅラじゃない、桂d―――」
言い終わる前に銀時の目の前にあった空の湯飲みが桂の顔面に直撃した、湯飲みは桂の顔面に叩き付けられ音を立てて割れたが、生憎桂の頭は割れる事はなかった。其処は惜しかったであろう。多分―――
「お前さぁ、空気読めよ。何か確信めいた事を言う大事な場面だろ? んなとこで一々変な挟み入れなくて良いって。だからさっさと話せ。でねぇとてめぇの残ってるその残り毛全部剃るぞ!」
「わ、分かった。だから早まるな! け、結論から言おう。桜月は高杉が持っている」
「やはりか」
薄々そう思ってはいた。あの紅桜は何処となく桜月に良く似ている。それに岡田の言動から察するに恐らく奴は高杉と何らかの繋がりを持っていると推測が出来た。
江戸を火の海にしたいと思っている高杉にとって見れば人を斬る事しか頭にない岡田は絶好の手駒と言えるだろう。
「だが、俺の知ってる桜月にはあんな化け物じみた能力はなかった筈だ。ありゃどう見ても俺の知ってる桜月とは別物だったぞ」
「うむ、俺もあれを初めて見た時に思わず動揺してしまった。だが、斬られて分かった事があるんだが、あの刀は威力的には桜月に遠く及ばない代物であろうな。もし、あの時俺を斬ったのが桜月であったなら、今頃俺の胴体は繋がってなかった筈だ」
銀時も桂も白夜と桜月の切れ味は嫌と言う程思い知っている。例え素人が振るったとしても桜月の切れ味ならば鉄板すら容易く両断する事が出来る。鉄板ですら容易く斬れるのだから人間の肉など問題なく切断が可能だ。
この事から予測出来る事はおよそ二つ。岡田の腕前の問題か或いは用いていた刀の攻撃力の二つだ。
その中でまず岡田の腕前と言う関連は除外される。居合い斬りの達人と呼ばれた岡田であれば人を両断する事など容易い事だろう。
となれば残る問題は持っていた得物の攻撃力しかない。恐らくあの紅桜は桜月に比べて攻撃力が大きく劣っていると言う結論が確定づけられた事になる。
「あれは……紅桜は、兄者が作った物だったんだ」
銀時と桂が二人で話している時に、鉄子が静かに言葉を発した。銀時が依頼の際に兄の鉄矢から聞かされたのとは食い違う内容だった。
だが、それを聞いた銀時は余り驚いた素振りを見せてはいなかった。寧ろ粗方予想出来たかの様な顔をしていた。
「だろうな。大方そうだろうと予測が出来たよ」
「うむ、俺も高杉の造船所内を嗅ぎ回っていた際
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