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駄目親父としっかり娘の珍道中
第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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事を」
「……鉄子、お前は妖刀ってのを信じるか?」
「いきなり何だ? まぁ、信じては……分からない」
「こいつはなぁ、その妖刀の類なんだよ。ま、妖刀って言うよりは、呪われた刀と言った方が正しいだろうがな」
「呪われた……刀―――」

 今より遥か昔、名も無き刀匠が作りし二振りの刀。それは手にする者に常人を超越する力を与え、幾多の戦場を駆けさせる正に常勝の刀と称された。その噂が国中へと響き渡り、遂にはその二振りの刀を巡り戦が起こる事まであったとされる。
 白き刀身を持つ白夜。赤き刀身を持つ桜月。二つの刀を手にする者は天下を御する事も可能となる。そんな噂さえ流れる程までとなった。
 だが、二つの刀を手にする事が出来た者は未だ居ない。二つの刀は互いに争い続ける呪われた刀であった。白夜を手にした者、桜月を手にした者。それらを手にした者達は誰しも刀に操られるかの如く戦場へと繰り出し、まるで操り人形の様にその身が朽ち果てるまで戦い続けた。
 持ち主の身が朽ちればまた新たな持ち主の手に渡り、また戦場を駆け抜ける。そんな歴史があった事から、何時しかこの刀を手にしようとする者はついに途絶えてしまった。
 攘夷戦争にて天人達を震撼させた、赤き鬼神を除いては、だが―――

「俺やヅラが知ってるのはそれ位だ。とにかく、この白夜を手にした者は白夜の手足となって永遠に戦い続けなけりゃならない。てめぇの意志なんて関係なくな」
「皮肉な話だ。古代中国にて最強の矛と最強の盾を作りし者の話はあったが、それは結局笑い話で終わった事だ。だが、名も無き刀匠が作ったのは最強の矛と最強の矛。互いが互いを求めて探しあうかの如く二本の刀は常に戦場にあったのだ」

 白夜と桜月。二つの刀は常に戦場と言う戦場にその姿を現していた。
 川中島の戦いに置いては、かの上杉謙信と武田信玄が愛刀として使用し、互いに激しい死闘を演じていたと言う噂もあり、白夜を懐に挿していた今川義元は桜月を腰に挿していた織田信長に敗れ、またその信長も今度は白夜を腰に挿した明智光秀によって討たれた。と言う噂すら流れている。
 恐らく、もっと昔の戦いに置いてもこの二本の刀は関わっているのであろう。恐らく、それはこれからもずっと続く事であろう。この世に白夜と桜月があり、それを使う者が居る限り―――

「止める手立てはないのか?」
「方法は簡単だ。こいつを破壊すりゃ良い。ま、刀を折った所でまたどうせ再生するんだろうがな」
「それじゃ、完全に破壊する為には……やはり、桜月が必要になると?」
「だろうな。最強の矛を壊すにゃ最強の矛しかねぇだろう。だが、肝心の桜月が何処にあるかさっぱり分かりゃしねぇ」

 白夜を破壊する為には桜月が必要になる。だが、肝心のその桜月の所在が掴めていないのだ。そんな中、桂がまる
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