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駄目親父としっかり娘の珍道中
第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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すっかり置いてけぼりを食らったような歯痒さを感じる銀時であったが、そんな矢先に来客を知らせる呼び鈴が鳴った。こんな雨天に一体誰が訪れると言うのだろうか?
 まぁ、それは十中八九桂が連れて来た輩に違いはないだろう。

「どうやら到着したようだな。入って来てくれ」
「おい、此処は俺ん家だからな? 念の為に言っておくが」

 すっかり我が家気分を出してる桂に釘を差す銀時。そんな銀時の事などお構いなしに入り口の扉が開かれ人が一人中へと入ってきた。
 
「あの……遅れてしまって……申し訳ない」
「む、問題はないぞ。銀時も俺も今こうして集まった所だ。とりあえず立ち話も何だから座ってくれ。鉄子殿」
「客人ってあんたかよ……ってかヅラ、お前何度も言うがなぁ……此処は俺ん家だからな!」

 本日何度目かのツッコミを繰り出すせわしない銀時であったが、そんな銀時をとりあえず放っておき、話をする体制は整った。今、銀時の目の前では桂と鉄子が並ぶようにして座っている。
 そして、その鉄子の両手には見覚えのある一本の刀が握られていた。

「銀時、彼女が持っているこの刀、見覚えがあろう?」
「あぁ、こいつだけは忘れたくても忘れられる代物じゃねぇ」
「そうだな、特にお前や高杉にとってはな―――」
「………ちっ!」

 桂のその一言で銀時の不機嫌さは更に加速しだした。銀時が不機嫌なのは桂が来た事もそうだが、先の一言と目の前に置かれたこの一本の刀のせいでもある。

「あの……一応、打ち直しておいたんだ。見てくれないか?」
「打ち直したのか? ご苦労様と言いたい所だが、どうせならひと思いにへし折って欲しかったんだがなぁ」
「銀時は、この刀が嫌いなのか?」
「好きとか嫌いとかじゃねぇよ。こいつに関わるとロクな目に合わねぇ、それだけの事なんだよ」

 文句を言いつつも律儀に銀時は刀の刀身を見つめた。少々荒っぽい面もあるがそれでも良い出来に仕上がっている。打ったばかりと言う訳でもないのだが、刀身に触れてみるとほのかに温かみを感じた。
 恐らく、彼女が心身込めて打ち込んだ為であろう。心底、これが刀なのが勿体ない位にさえ思えた。

「とりあえず例を言うぜ、あんがとうよ」
「良いんだ。それよりも教えて欲しい。何故この刀に関わるとロクな目に合わないんだ?」
「これを使ってた奴が死んだからだよ」
「それって……紅夜叉さん……の事か?」
「………」

 鉄子の問に銀時は答えなかった。ただ無言のまま刀を鞘に納め、そしてそれをそっと自分の横に立て掛けた。

「馬鹿な奴だよ。俺なんかの為に戦い続けやがって―――」

 小声で銀時はつぶやいた。もしかして、それは紅夜叉と言う人に向けて言ったのだろうか?
 
「銀時、教えてくれ。その刀に関わる
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