第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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でてめぇが此処に居るんだ?」
「うむ、やるべき事が終わったのでとりあえず俺の手元にある情報をひとまずお前に与えようと思ってな」
「あ、そ。で……その髪はどうした? イメチェンか?」
銀時が指摘した桂の髪は普段以上にバッサリと切られており、首から肩に僅かに掛かる程度の長さしかなかった。
まぁ、仮にもそれがイメチェンとほざいたのならその場合は手に持っていた茶を思い切りぶっかけてやろうと思っていたのだが。
「うむ、貴様の言う通りイメチェンだ!」
一切迷う事なく言い放った。なので銀時は当初の予定通り熱々のお茶を思い切り桂に向かいぶっかけた。その際に桂が「うごわぁぁ! 暑い暑い、じゃなかった熱い熱いぃぃぃぃ!」と悲鳴を挙げていたのは当然の事だったようだが。
「真面目に答えよう。この髪は例の人斬りにやられた物だ」
「人斬り? あぁ、あの野郎か。け、奴も趣味悪い事しやがるぜ」
「だが、詰めが甘かったな。俺の生死の確認をせずに髪だけ毟り取って消え去ってしまったからな。だが、そのお陰で俺は奴の根城に潜り込む事が出来た」
銀時達の知らない裏で桂はひたすらに動き回っていたようだ。大層ご苦労な事だったであろう。心底その苦労を労ってやりたい所だが、生憎銀時にそんな優しさは欠片もなかった。
「時に銀時、お前も相当な目にあったそうだな」
「全くだ。あの紅桜って化け物刀もそうだが、途中で乱入してきたあの仮面野郎に思いっきりドテッ腹に一撃貰ったからな………アレ?」
語りながら腹部の傷に触れようとした時、ふと銀時は気づいた。今までは怪我の具合からして触れないように努めていたのだが、今回触れてみてその違和感に気づいた。
「どうした?」
「変だ、傷がない。腹の傷もそうなんだけどよぉ……体全身の傷も何時の間にか無くなってやがらぁ」
確かめる為に銀時は上着を脱ぎ腹に巻かれていた包帯を取り払ってみた。思った通り、取り払った包帯の後から出てきたのはまるで一切傷を受けていない本来の銀時の体その物であった。
明らかにおかしい。確かあの時は仮面の剣士の一撃で腹部を貫通された筈。普通に考えてこんな短時間で怪我が完治する筈がない。
だが、包帯を取り外せば外す程に其処にかつてあった筈の傷がすっかり塞がり元通りになっていたのだ。
更に言えば体の調子もほぼ前回の時までに戻っている。全く意味が分からない事この上なかった。
「ま、良いや。怪我が治ってるんだったらそれに越した事ぁねぇしな」
「ふむ、俺の知らない所でお前も大変な目にあってたらしいな」
「あぁそうだな。それよりもさっさとお前の情報ってのを寄越せ!」
「慌てるな。それをする為にも今こちらにもう一人向かって来る者が居る。その者が来てから話す」
「???」
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